【食の力】心込めて健康お節 野菜ふんだん 調理も工夫

西日本新聞

 「健康を願うお節料理に、新年を健やかに過ごせるよう野菜をふんだんに使いましょう」

 今月初旬、福岡市中央区の「西部ガス 食文化スタジオ」であった福岡県栄養士会の料理講座で、講師の金高愛さんが受講生に呼び掛ける。毎月開く講座のこの日のテーマはお節料理だ。

 フードコーディネーターでもある金高さんが最近のお節について感じているのは肉や魚介類が目立つこと。「タンパク質が多くなりがちで、私も胃がもたれて体調を崩したこともありました」。そこで野菜中心のメニューを考えた。「食物繊維を十分取り、体も胃腸も軽くする」狙いだ。

   ◇   ◇

 メニューは松竹梅ピクルス▽たたきごぼうの木の実あえ▽ゆず酢なます▽手綱(たづな)こんにゃく▽山芋と里芋のうにかんざし-など9品。品数を多く、見栄えは良くという受講生の要望に応え、別メニューの材料を一緒に調理したり、野菜を使って料理を華やかに見せたりする工夫も盛り込んだ。

 例えば「松竹梅-」と「たたきごぼう-」は酢に漬け込むまでは同じ工程。ごぼうはゴマとカシューナッツを絡めて仕上げる。

 花びらに型抜きしたニンジンや大根は料理の飾り付けにもなる。黄や紫のカラーニンジンや赤い大根などを使えばより華やか。野菜に切り込みを入れ立体的に見せて特別感を演出する包丁の使い方も指導した。

 干しシイタケを生かすのは「-なます」と「-こんにゃく」。シイタケの戻し汁に調味料を加えた合わせだれで、なますのシイタケとしらたきを煮込むとき、こんにゃくも一緒に入れて味付けするのが一石二鳥の技。なますはユズといりごまの風味に、だしの染みたシイタケのうま味も加わり「子どもでも食べやすい」(受講生)一品になった。

 お節に込められた子孫繁栄の意味を通常とは別の食材で表現したメニューもある。「山芋と里芋-」はよく使われるホタテの貝柱やイカに代わって、根を張っていくことから縁起物とされる山芋と里芋を使い、うにの卵黄ソースで黄色(黄金色)をあしらった。

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 「家族が健康に」との思いをたっぷりの野菜で実際にかなえようという今回のお節。受講生の家族だんらんを想像しながら私も古里・鹿児島のお節を思い出した。亡き母が作っていた十六寸(とろくすん)煮は白いインゲン豆を甘く炊いた品。叔母によると祖母も作っていたらしく、それを受け継いだのだろう。行列のできる回転焼き店で私がついつい白あんを選んでしまう理由に、今更ながら思い至る。これも家族や親族の絆を結ぶ食の力か。

 顧客への感謝のしるしとして長年、お節を作ってきたという福岡市中央区の創作日本料理店の店主、北島克正さん(66)はお節への思いをこう話した。

 「量が多いと手抜きになりがちですが、やはり心を込めて作ること。正月になれば家に帰ろうと思えるような家庭の味を大切にしてほしい」

 ●主なお節レシピ

 ★松竹梅ピクルス
【材料4人分】カラーニンジン60グラム/紅芯大根60グラム/大根60グラム ★ピクルス液=白ワイン150ミリリットル/白ワインビネガー100ミリリットル/砂糖45グラム/白こしょう1グラム/ローリエ1枚/昆布10グラム/塩2グラム

 ★たたきごぼうの木の実あえ
【材料4人分】ゴボウ100グラム/ゴマ10グラム/カシューナッツ10グラム
【作り方】(1)ニンジン、大根類を食べやすい大きさに切る。または型抜きする。ゴボウはよく洗い4センチ長さに切り、下ゆでして、たたいておく(2)ピクルス液の材料を鍋に入れて沸騰させ、熱々の状態の中に(1)を漬け込む。香りや色が移りやすいゴボウと色つき大根は別に用意した容器二つに、それぞれ漬ける。翌日ぐらいからが食べ頃(3)ゴボウは漬けた後、ピクルス液をよく拭き、いってすりつぶしたゴマとカシューナッツであえる。

 ★ゆず酢なます
【材料4人分】大根50グラム/ニンジン30グラム/しらたき40グラム/戻しシイタケ2枚/ユズの皮すりおろし少々/白いりごま8グラム/ユズ搾り汁大さじ2/酢大さじ1 ★合わせだれ=干しシイタケの戻し汁大さじ2/砂糖小さじ2/しょうゆ大さじ1

 ★手綱こんにゃく
【材料4人分】こんにゃく4枚
【作り方】(1)大根、ニンジンは4センチ長さに千切りにして塩もみする(2)シイタケは薄切り、しらたきはゆでて食べやすい大きさに切り、手綱こんにゃくも合わせだれに一緒に入れる。汁気がなくなるまで煮込んだ後、冷ます。こんにゃくは別にする(3)白ごまと他の調味料を合わせ(1)と(2)をあえる。ユズでこさえた器に盛りつける。

 ★山芋と里芋のうにかんざし
【材料4人分】山芋40グラム/里芋小2個/卵黄1/2個分/練りうに小さじ1/みりん少々
【作り方】(1)山芋の皮をむき、1センチ幅にスライスし、イチョウ切りなど一口大に切る。里芋はよく洗い、皮付きのまま串がすっと通るまでゆでて半分に切る(2)練りうにと卵黄をよく混ぜ、みりんで伸ばし、(1)にのせてオーブンまたはグリルで5分程度、卵黄を乾かすように弱火で火を入れる。


=2016/12/14付 西日本新聞朝刊=

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