年末年始の「嫁しゅうとめ」<下>「わが家の雑煮 教えたい」

西日本新聞

 年末年始、「しゅうとめ」たちは、離れて暮らす家族を迎え入れるのに忙しくなる。「嫁」と一緒にお節料理や雑煮を作り、わが家の味を伝えていく。そんな姿は減ってきているようだ。昨日の「嫁」に続き、今日は「しゅうとめ」の声を紹介する。

 街で聞いてみると、今どきの義母は、言いたいことを我慢している人が多いようだ。「私はおヨメさんの味方だから」と言いつつ…。

 ★出産後の長男(39)の妻(39)を「何もしなくていいよ」と迎えたら、孫(8)に手がかからなくなっても何もしてくれない。娘がいないから本当の娘だと思っているし、長男が皿洗いを手伝ってくれるから、今はそんなものなのかな。ただ、料理して、布団を干して、洗濯して、年末年始はあんまり疲れるから、2年前からお節は買うようにした。今年は孫が一足早く帰省する予定だから、代わりに手伝ってもらおうかな。
 (福岡市博多区、66歳)

 ★宮崎市に住む長男(36)家族が帰省するのは元日の1泊だけ。嫁(33)は食べ終わった皿を台所に運びもしない。博多のお雑煮を食べてほしくて作るけど、「餅は入れないで」って言われて…。私が宮崎に遊びに行っても、朝食は「うちは毎朝これです」とパン1個。長女(38)を見ていてもそんな感じだから、しょうがないのかなあ。私が卵焼きやら、きんぴらごぼうやら、炊き込みご飯やら、たくさん作って持っていくのよ。
 (同区、71歳)

 ★嫁(56)には何でも「ありがとうね」って言ってます。息子(56)が困ったら、私も嫌だもんね。年末年始は最近、1人で穏やかに過ごしていますよ。
 (福岡県太宰府市、79歳)

 ★おいしい博多雑煮だけは伝えていきたいから、7年前から長男の妻(43)と長女(45)と私の持ち回りで雑煮を作り、正月はその家に集まって食べるルールにした。それさえできれば、あとは何も望まない。
 (福岡市博多区、72歳)

 多くを求め過ぎないのが、うまく付き合うこつかもしれない。ただ、こんな声もある。

 ★次男(38)の妻(37)に本当はうちの味を覚えてほしいけど、口出ししない。それでうまくやっているけど、心の深くまで交われていない気がする。今後、病気とか人生のピンチが訪れたとき、もっと強いつながりが生まれるのかな。
 (同区、70歳)

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 ●時代とともに関係変化 一緒に過ごせば必ずいい発見 林田スマさん(69) 大野城まどかぴあ館長

 昔は私も夫(70)の実家に帰省するのが嫌でした。義母が意地悪とかではなく、「いい嫁でいよう」と気を張って、ぐったり疲れてしまっていました。

 今は立場も変わりました。長男(39)の妻(39)は内科医で、働く女性の同志です。「あなたの生きたいように生きて」と伝え、孫育てを手伝い、お互いに居心地がいい関係を築けています。

 私たち以上の世代は「男は仕事、女は家事」のような性別役割意識が色濃い中で生きてきました。若い世代は核家族の共働きが多い。時代は変わり、嫁しゅうとめ関係も「こうあるべきだ」という像が崩れ、100組いれば100通りの関係があるはずです。多様化しているから、昔よりうまく付き合える可能性は大きくなっていると思います。

 ただ、私たち団塊の世代は過渡期にいる。自分がされて嫌だったことは若い世代にしたくないけど、自分はあんなにつらかったし、頑張ったのに…と揺れるのです。「しゅうとめ」だからといって完璧でなくてもいいんです。素直に昔の苦労を伝え、「お節料理は買って、楽なお正月にしましょう」なんて言ってみては。時代とともにゆっくりと変わりましょう。

 要はコミュニケーションです。1月は「むつみ合う月」と書いて睦月(むつき)。家族が集まって、それぞれのルーツや人生を確認したり、一緒にいる幸せを体感できたりするチャンスです。面倒だけど、一緒に過ごせば必ずいい発見がありますよ。


=2016/12/21付 西日本新聞朝刊=

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