レット症候群 突然死解明に光 原因遺伝子 心臓に影響 聖マリア病院と久留米大が研究

西日本新聞

 聖マリア病院(久留米市津福本町)と久留米大の研究グループは、主に女児に発症する進行性の発達障害「レット症候群」の原因遺伝子が心臓の機能や形成に直接影響し、不整脈を引き起こしている可能性があるとの研究成果をまとめた。レット症候群に多い突然死の原因解明や、治療法の開発が期待される。

 昨年、英科学誌(電子版)に論文が掲載された。レット症候群は1歳ごろから知能や歩行に障害が表れ、徐々に進行。9割の患者で原因遺伝子「MeCP2」に変異があり、神経系に作用して発症すると考えられている。国内の患者数は推計4千~5千人で自閉症やてんかんも伴う。突然死のリスクが高く、原因究明と予防が課題になっていた。

 これまで、突然死は自律神経障害による心拍や呼吸機能の異常が関係していると考えられていたが、研究グループはMeCP2の遺伝情報が心臓にも現れていることに着目。MeCP2の変異が直接、心機能に影響を与えていると考えた。

 研究グループは、MeCP2を欠損させた胚性幹細胞(ES細胞)が、心筋細胞に分化する過程を観察するなどした結果、MeCP2が心筋細胞の元となる心筋幹細胞の発生や、心臓形成に関わっていることが判明。さらに、MeCP2を欠損させたマウスの心臓を解析した結果、心筋細胞同士の情報を伝える部位が未成熟で、心臓をポンプとして動かすために必要な機能にも異常があったという。

 久留米大高次脳疾患研究所の高橋知之准教授は「MeCP2が心臓機能の制御に関わり、変異によりこのメカニズムが破綻することで不整脈を引き起こす可能性が出てきた」と分析。聖マリア病院レット症候群センター長の松石豊次郎医師は「突然死の原因解明の足がかりになった。久留米はレット症候群の治療、研究拠点になっており、治療法開発を急ぎたい」と話す。


=2016/12/22付 西日本新聞朝刊=

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