五十肩 カテーテルで治療 薬剤注入 患部の新生血管消滅 久留米大など研究 短時間で症状改善

西日本新聞

 中高年に目立つ五十肩。痛み止めの服用や注射、理学療法が一般的な治療法だが、久留米大病院(福岡県久留米市)は関西医科大付属病院(大阪)など全国3大学病院との共同研究で、カテーテルによる新たな治療法を始めた。患部に広がる新生血管を薬剤注入によって消滅させる手法で、1時間半ほどの治療で「症状が劇的に改善する」(担当医)のが特徴だ。

 「痛みに耐えられず、神にもすがる思いでした」。鹿児島市の会社社長奥山篤志さん(60)は振り返る。2015年10月、趣味のテニスでサーブを放った瞬間、右肩に激痛が走り、磁気共鳴画像装置(MRI)検査の結果、肩腱板(けんばん)の不全断裂のほか、動脈から細かく枝分かれした新生血管が確認された。腱板の不全断裂が五十肩を誘発したとみられるという。

 五十肩の正式な医学名称は「肩関節周囲炎」。5人に1人が痛みで腕が上がらなかったり、服を着るのが難しかったりと日常生活に支障を来しているとされる。患部の新生血管に並走する神経が痛みをもたらしている。

 奥山さんは治療を続けたものの「夜眠れないほどの痛みが続いた」。地元の大学病院で関節鏡による手術を提案されたが、4週間も肩を固定する必要があり見送った。昨年秋、知人の紹介で久留米大病院を受診。年末にカテーテル治療を受けた。「治療直後から痛みが和らぎ、それまで地面と平行にしか上がらなかった腕も頭近くまで上がるようになりました」と奥山さんは語る。

 カテーテル治療は局所麻酔後、手首や肘の動脈から直径1ミリ以下のカテーテルを注入し、薬剤で新生血管を消滅させる。2012年、都内の病院が初めて導入し、500例ほどの実績がある。治療の効果と安全性をさらに確認しようと、久留米大病院は昨年春、関西医科大のほか、防衛医科大病院(埼玉)、和歌山県立医科大付属病院(和歌山)と共同研究を始めた。学内倫理委員会の承認を受け、昨年10月から採用している。自由診療のため費用は約17万円。

 整形外科的な保存治療を最低3カ月継続しても中重度の傷みがあり、夜間痛もあることなどが治療の条件。「苦しむ患者を痛みから解放させたい」と、久留米大医学部放射線医学講座の小金丸雅道准教授。これまでの症例数は奥山さんを含め4例で、100例を目標に研究を続けるという。同講座=0942(31)7576。


=2017/01/14付 西日本新聞朝刊=

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