認知症 映画で深く知る

西日本新聞

 認知症をテーマにしたドキュメンタリー映画2本が2~3月、福岡県内を中心に九州でも上映される。いずれも全国各地で自主上映会が繰り返されるなど、認知症の人との接し方や介護のあり方を考えさせる秀作だ。

 ●母を介護する覚悟を決めた娘の日常 「徘徊~ママリン87歳の夏」 福岡県内5カ所で

 認知症の母親と、介護する娘の日常を追ったドキュメンタリー映画「徘徊(はいかい)~ママリン87歳の夏」(2015年、77分)が2~3月、福岡県内5カ所で上映される。田中幸夫監督(64)は「認知症の母を介護するという覚悟を決めた娘の物語。介護に限らず、困難な状況にある人に見てほしい」と話す。

 大阪市の自宅マンションでギャラリーを営む酒井章子さんは、奈良県に住む母のアサヨさんが認知症になったのを機に、08年から同居している。田中監督は14年に章子さんと知り合い、「母を映画に撮りたい」と相談を受けた。2人のやりとりを「面白い」と感じた田中監督はすぐに撮影を始めた。

 映画では、アサヨさんが徘徊したり、深夜に自宅のドアをたたき続けたりする様子が映される。「ここ誰の家? 刑務所と違うの?」。同じ質問を繰り返すアサヨさんに、章子さんは淡々と応じる。昼夜問わず徘徊するアサヨさんの後を追い、偶然を装って発見し、連れ帰る。介護という重いテーマを関西弁の軽妙な口調が和らげている。

 アサヨさんは現在、徘徊はしなくなったが、幻覚症状が現れているという。「家族という断ち切れない関係の中で、介護にどう対処するかを考えるきっかけになってほしい」と田中監督は話す。

 字幕と副音声付き。一般千円(当日1200円)、障害者は当日のみ500円。上映日程は次の通り。

 【福岡市】2月4日午前11時、午後1時、同3時=市男女共同参画推進センターアミカス(南区)▽同14日午前11時、午後1時、同3時=コミセンわじろ(東区)▽同22日午前11時、午後1時、同3時、同6時半=市民福祉プラザ(中央区)【久留米市】3月17日午後2時半=えーるピア久留米【筑紫野市】同23日午後2時半=市生涯学習センター

 問い合わせは九州シネマ・アルチ=092(712)5297。

 ●毎日の音読や計算で症状が改善した 「僕がジョンと呼ばれるまで」 福岡、鹿児島で

 映画「僕がジョンと呼ばれるまで」(82分)は、米国の高齢者施設入居者たちが「学習療法」によって変わっていく様子を記録している。2014年に公開後、全国62カ所で自主上映会が繰り返されている。

 仙台市のテレビ局仙台放送が13年に製作。「脳トレ」で知られる東北大の川島隆太教授が提唱する学習療法は、簡単な音読や計算などを毎日短時間続けることで脳を活性化するという。

 映画は、オハイオ州の施設で暮らす80歳以上の認知症患者たちが半年間、学習療法を実践し、次第に笑顔や会話が増えたり、社交的になったりする姿が収められている。この施設の職員で記録係のジョンが自己紹介して5分後、「僕の名前を知っていますか」と尋ねても答えられなかった人たちに起こる変化は、忘れていくだけという認知症のイメージを変える。

 上映日程は次の通り。

 【福岡市】2月18、19、25、26日の午前10時半、午後0時半、同2時半=大洋メディアホール(博多区)。一般千円(当日1500円)、小中高生は当日のみ800円【鹿児島県】3月3日午前11時、午後2時、同7時=サンエールかごしま(鹿児島市)▽4月19日(予定)=奄美文化センター(奄美市)。2カ所とも一般千円(当日1300円)、小中高生は当日のみ800円。

 問い合わせは九州共同映画社=092(741)7112。 


=2017/01/19付 西日本新聞朝刊=

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