学童保育 民間多彩に 待機児童最多更新 放課後の居場所は… 見学が大事/第三者の評価を

西日本新聞

 共働きやひとり親家庭の小学生を預かる放課後児童クラブ(学童保育)。4月入学を控える新1年生の保護者は申し込みの時期だが、希望しても入れない全国の待機児童は昨年5月時点で1万7千人を超え過去最多を更新。預け先が見つからず、親が仕事を辞めざるを得ない「小1の壁」が解消したとは言い難い。そんな中、公的な学童保育と比べて割高だが、遅い時間まで預かりが可能で、食事の提供や習い事といった付加価値を売りにする民間学童保育が注目を集めている。福岡市内の施設を訪ねた。

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 ミートローフが焼ける匂いが漂い、ミネストローネを煮込む鍋から湯気が上がる。早良区のマンションの一室にある学童保育「スイミー」では、手作りの夕食を皆で囲む。「これ何のドレッシングかな」「ユズを搾ったよ」。手料理を前に会話が弾む。

 小学校の授業が終わる午後、ここには10人前後の子どもたちが「ただいま」とやって来る。保護者が迎えに来るまで、宿題をしたり、遊んだりして3人ほどのスタッフと過ごす。約100平方メートルの室内には寝転べるように畳があり、机と椅子が並ぶ学習室もある。

 学童保育の指導経験者や教員免許を持つスタッフで昨年3月に開業。代表の東原洋子さん(49)は「学校で緊張したり頑張ってきたりした子がリラックスできる場でありたい」と話す。

 料金は週3日で月3万6千円、週5日で6万円ほど。小学2年の男児(8)の父親(37)は「少人数で家庭的な雰囲気が気に入っています。夕食が出るので安心して残業できる」と言う。

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 民間学童保育は都市部を中心に増え、福岡市内では2015年以降、少なくとも14カ所が新規開設。背景には待機児童の問題もあるが「自治体が運営する施設が働く親のニーズを満たしていない」と指摘するのはこの問題に詳しい日本総研主任研究員の池本美香さん。公的施設の9割は午後7時かそれ以前に終了し、残業が多い保護者の要望には応えづらい。学習指導にもっと力を入れてほしいと考える親も増えているという。

 そこで、長時間の預かりに加えて「習い事付き」を掲げる民間施設も出てきた。学習塾が15年に開設した早良区の「英進館アフタースクール」は、塾の授業はもちろん、珠算や将棋、英会話、ピアノなどバラエティーに富む習い事が魅力。最長午後9時まで預かり、学校や自宅に送迎もする。

 「利用者の多くは公営施設との併用。習い事をさせたい日や残業があるときに使ってもらっています」とシニアマネジャーの平嶋大介さん(42)。週1~3回の利用が多く、その場合の料金は1万円台~3万円台。習い事の月謝は別料金だ。

 昨年開設の南区の「オークアフタースクール」も工作やお菓子づくりなどさまざまな活動を実施。人前で話す機会を用意し、プレゼンテーション能力の育成にも力を入れる。代表の吉塚二朗さん(43)は「放課後は貴重な時間。ただ預かるだけではなくて成長のお手伝いがしたい」と語った。

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 選ぶときのポイントは何だろう。民間6事業者でつくるNPO法人「福岡民間学童保育連絡協議会」の代表理事、藤川由美さんは「事前に見学し、施設が大事にしていることが育児方針に合うか確認して」と話す。子どもと一緒に行き、活動に参加させてみるといい。

 自治体などが設置・運営する公的学童保育は、国などの補助金を受けるので施設の面積や職員配置に基準があるが、民間には特にない。手厚い独自基準を設けている民間施設も少なくないが、運営はそれぞれに委ねられる。池本さんは「公立、民間問わず、第三者が施設の内容を評価、公表する仕組みがあれば質が向上していくはず」と提案する。


=2017/01/21付 西日本新聞朝刊=

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