森へおいでよ 筑豊の自然再発見<19>君の名は。 この木 大好き 私の木

西日本新聞

 「名前」を知ると、その対象との距離がぐっと近くなる。生物の名前もそうである。私たちの行う自然観察会「いきものさがし」では、ことさらに生物名を覚えさせるようなことはしていない。だが、よく見かけるものや、気に入ったものは子供たち自らフィールドノートにメモをし、覚えていたりする。その時の記憶をとどめるために、彼らは名前を知ろうとするのだ。「名前」によって記憶をつなげ、そこからまたさらに深く知ることもできるのである。

 その点に着目して、飯塚市と実施している自然体験プログラムがある。まず、森を散策し=写真(1)、演劇ワークショップの手法をとりいれた自然と親しむゲームで、自分のお気に入りの木をみつける。その後、その木の名札をつくり、木にプレゼントするのである。友達のように木と親しんでもらうことで、森や自然にもっと親しみをもってもらうことを狙いとしている。

 このプログラムでは、自然と親しむゲームが、参加者と森をつなげる鍵となっている。そのゲームでは、森の中で五感をつかい、想像力を刺激する遊びをして、表現する。こういうと堅苦しいが、いわゆる「ごっこあそび」を森の中でやっているのだ。例えば、いつもの森でも、導入のあいさつを「今日、ここはおとぎの国への入り口です! まずは、入国ゲートをくぐろう! それにはミッションをクリアしないといけないよ!」というと、子供たちもワクワクした顔になる。そして、木のポーズをとったり、あだ名をつけたり、ダンスをしたり、身体をつかって森の中で遊ぶ=写真(2)。

 環境を整え、導入をきちんと行うことで、子供たちの想像力が開き、想像したものを披露してくれる。その時間を過ごすことが、森に親しむことにつながり、後半の、彫刻刀で板に木の名前を彫る際のモチベーションの維持にもつながる=写真(3)。彫刻刀を初めて使う子供でも意外と短時間で彫ったり、彫るのが難しい箇所も丁寧に仕上げたりする姿にそれが現れている=写真(4)。その後、できた名札をかける時に記念撮影も行うが、皆とてもうれしそうである=写真(5)(6)。

 今の子供たちは、自然の中で自由に遊べる環境や機会が少なくなっている。昔は当たり前にできていたことができなくなっている。だが、子供たちの遊ぶ姿に今も昔もない。少しでも多くの子供たちにこうして森で遊べる機会をつくっていけたら、と思う。

(筑豊の自然を楽しむ会=ちくぜんらく・成本(なるむし)麻衣子)


=2017/01/26付 西日本新聞朝刊(筑豊版)=

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