患者の権利オンブズ 解散 医療相談、カルテ開示進める 福岡で18年 全国に波及

西日本新聞

 医療や介護への不安や疑問を訴える患者や遺族の相談に無料で応じ、医療機関に改善も迫ってきた福岡市のNPO法人患者の権利オンブズマン(久保井摂理事長)が3月末での解散を決めたことが分かった。ボランティア相談員の高齢化と資金難で活動が難しくなった。日本初の医療専門の民間相談機関として18年前に始まった活動は、九州各地や関東にも裾野を広げ、患者へのカルテ開示が進むなどの功績も残した。

 同オンブズマンによると、研修を受けたボランティアが相談を受けたり、医療機関との対話に同席したりしてきたが、近年は新たななり手がおらず、主に60~70代の6人で対応。一時は年間300件近い面接相談に応じてきたが、この数年は120件前後になっていた。会費を納める会員もピーク時の半数の約600人となり、寄付も減少して運営が難しくなっていた。

 同オンブズマンは、患者取り違えなどが相次ぎ医療不信が高まっていた1999年、薬害エイズ問題に関わった池永満弁護士(2012年死去)の呼び掛けで発足。訴訟によらない問題解決を目指し、カルテ開示などにも取り組み、弁護士や医師らが助言してきた。

 この18年間で計約6600件の相談に対応(電話相談含む)。医療機関に問題があった場合の改善勧告は24件に上る。病院が夜勤態勢を見直すなど改善につながった例もあるという。

 福岡の動きを受け、大分や熊本県、関東でも市民団体が活動を開始。厚生労働省も03年にカルテ開示の指針を定め、06年の医療法改正では都道府県に医療相談窓口の設置が進んだ。久保井理事長は「発足当初はカルテ開示さえ応じない医療機関が多かったが、今は苦情窓口を設ける病院も増え、患者の権利意識も向上した。一定の役割は果たせた」と話している。

 解散の方針は1月の理事会で決定。相談の予約電話は2月末まで受け付ける。18年間の歩みを振り返る集会を4月23日午後1時半から福岡市・天神の天神ビルで開く。オンブズマン事務局=092(643)7579。


=2017/02/03付 西日本新聞朝刊=

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