黄疸原因物質の生成解明 宮崎大、久留米大など研究グループ 新生児脳症の治療薬に道

西日本新聞

 和田啓・宮崎大准教授(構造生物学)や杉島正一・久留米大准教授(同)らの研究グループが、これまで不明だった黄疸(おうだん)の原因物質が生成される特異なメカニズムを解明した。この原因物質によって引き起こされる重度の新生児黄疸(ビリルビン脳症)の治療薬開発に道を開く可能性がある。研究成果は、総合科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載される。

 研究グループが解明したのは、血液中の酸素を運搬するタンパク質「ヘモグロビン」の分解過程で、中間物質の「ビリベルジン」から最終物質の「ビリルビン」に変換する仕組み。

 ビリルビンは黄疸の原因となる物質で、通常は体外に排出される。だが、血液分解が盛んな新生児では、過剰なビリルビンが体内に残り、新生児黄疸を起こしやすい。特に未熟児では、深刻なビリルビン脳症になり後遺症が出る場合があるという。

 研究グループはビリルビンの生成過程を原子レベルで解明。酵素がビリベルジンの2分子を取り込み、片方が触媒の働きをして、もう一方をビリルビンに変換させていたことを突き止めた。触媒の役割を果たすビリベルジンの活動を制御することができれば、ビリルビンの生成を抑えられる可能性があるという。

 今回の研究成果について、藤田祐一・名古屋大大学院教授(植物生化学)は「今回のタンパク質反応は、通常は見られないユニークな反応。非常に価値の高い発見だ」と評価。周産期医療を専門とする宮崎大の池ノ上克(つよむ)学長は「未熟児医療にとってビリルビン脳症は深刻な問題。治療薬が開発されれば、患者家族にも朗報となる」と期待を寄せた。

=2017/02/08付 西日本新聞朝刊=

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