「出資なしでも発言可能」 空港基金条例案、福岡市議会否決
福岡市議会は23日、福岡空港民間委託の受け皿となる新運営事業者に出資しないことを前提とした「福岡空港未来基金」条例案を本会議で否決した。高島宗一郎市長は「今後も出資するつもりはない」と明言。否決を主導した与党・自民党市議団との距離感については「野党になるということなのかな。分からない」と言葉を濁した。与野党は入り乱れる形で対応が割れ、市執行部と議会の関係は見通しが難しくなっている。
条例案の否決を受け、高島宗一郎市長は記者団の取材に応じた=写真。主なやりとりは次の通り。
-条例案は市執行部提出で初の否決だが。
「提案に間違いはなく、多くの市民に同意して頂けると思う。投資ではなく子育てや教育支援に使うべきだと判断した」
-(出資を求める)決議が可決された。
「真摯(しんし)に受け止めたい。ただ説得力ある討論はなかった。(自民は)かたくなに出資を訴えていたが、政策的な意味で理解できない。市政にとっては大切なお金を投資しても全体で1%にもいかない額。空港運営や安全対策への発言権があるものでもない」
-議会との対立が露呈した形だが。
「緊張関係は大事。議会の意見も大切だし、私も予算の執行権者として税金の使い道を託されている。市長を支えていくのが与党。議場で公に否決されたわけだから、まあ、そういうことなんだろうと思う。基本的な方向性は自民、公明、みらい福岡と同じと思う」
-あらためて今後の議会で条例案を出し直す予定は。
「今後、基金ではなくて一般財源としての使い方など工夫をどうするかは検討していく」
-出資しなくても発言はできるか。
「もちろん。そのために法で定められた空港法協議会があり、市独自でも協議の場を持っていく」
-2014年総選挙で自民党とは候補者応援を巡りわだかまりが残っている。
「個人的なわだかまりがあるかなと外形的には見えるかもしれないが、私には分からない」
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福岡市は23日、空港の新運営事業者への設立時の出資について、国から時間的に事務手続きが間に合わないと伝えられていることを明らかにした。市は昨年秋、国に出資しない意向を伝達。国は市が出資しないことを前提に民間委託の概要である実施方針を3月にも公表する予定にしているという。
=2017/02/24付 西日本新聞朝刊=