広がる花粉症の治療法 国立病院機構福岡病院アレルギー科 岸川禮子医長

西日本新聞

 ●初期に「ステロイド」 眠気抑える内服薬 自宅で「舌下療法」 「患者に合わせて選択」

 季節の移ろいとともに、うっとうしい病もまん延し始めた。くしゃみ、鼻水、鼻づまり…。そう、花粉症。スギ花粉の飛散量がピークを迎え、街にはマスクや眼鏡などで自衛する人が目立つ。10人のうち3~4人が発症するとされ、もはや病気ではなく“現代人のありふれた体質”とも言われている。効果的な症状改善策は-。国立病院機構福岡病院(福岡市南区)アレルギー科の岸川禮子医長に尋ねた。

 症状に応じた治療法を鼻アレルギー診療ガイドラインに基づき選択している。3年ぶりに改定された2016年版には、鼻噴霧用ステロイド薬が初期療法に加わった。

 従来は症状が重くなったときに使用してきた。初期にステロイドを噴霧することで重症化を防ぐことができ、軽症でシーズンを過ごすことができる。ただし、毎年、重症化している患者が対象。通常は抗ヒスタミン薬や遊離抑制剤などアレルギー症状を抑える内服薬から選ぶ。眠気を押さえる内服薬も出ており、初期療法の選択肢が広がった。患者の特徴に合わせて治療が開始できる。

 症状がひどくなったら、これらを組み合わせる。ステロイドの内服薬もあるが副作用が強く、長期間は使えない。市販薬は合剤が多く、あくまでも間に合わせの薬。原因がハウスダストのケースもあり、きちんと医師の診断を受けてほしい。

 対症療法ではなく体質を変える治療法もある。14年に公的保険適用となった「舌下免疫療法」。シーズン終了後に開始し、決められた量のスギ花粉エキスを毎朝、舌の下に垂らし、2分間そのまま。これを最低2年間、毎日続ける。

 以前は注射でエキスを注入していたが、これは自宅で対応できる。激しい運動を避けたり、アルコールを控えたりする必要があるため、療法が日常生活に入っていけるかどうか…。副作用として、ひどい場合にはアナフィラキシーの心配もあり、医師が常に目を光らせておかなければならない。ただ、普及すると、花粉症に効果的な治療薬であり、予防薬になる。

 病院では長年、花粉の飛散量を測定。採取した花粉を顕微鏡で検査し、実数を確認している。現在、新手の観測法が次々と登場しているが、花粉の数を正確にカウントできるかどうかが課題。「人の目」に勝るものはないと思う。

 ●ロボットが飛散量を計測 気象情報会社の「ポールンロボ」 1週間予測をHPに掲載

 花粉症の予防や対策に欠かせないのが花粉飛散量の計測だ。屋外のガラス板に付着した花粉数を顕微鏡で見て数える方法が一般的な中、気象情報会社ウェザーニューズ(千葉市)は人手のかからない自動観測機「ポールンロボ」による計測に取り組んでいる。

 ポールンは英語で「花粉」の意味。直径15センチの球体で赤ちゃんの顔を模したデザイン。人の呼吸量と同程度の空気を吸い込み、花粉の大きさや形状をセンサーが認識して数を測定する。全国約千の協力施設の軒下に設置されており、本社にはデータが自動的に送られ、1時間ごとに飛散量と、翌日や1週間の予測をホームページで公開する仕組みだ。登録者には毎朝、予測をスマートフォンに送るサービスも実施している。

 福岡市・天神の福岡支社の3階ベランダでも1台が稼働中。花粉量に応じて目の部分が白、青、赤など5色に点灯する。九州ではスギが3月半ばにかけて、ヒノキが3月下旬から4月上旬にかけてピークを迎えると予測。飛散量は平年比では1・3~1・5倍だが、少なかった昨年と比べると大分県11倍▽鹿児島県7倍▽長崎県6倍▽福岡県3倍-となる見込みで、担当者は「花粉症でなかった人も発症する恐れがあり、マスクや洗濯物の部屋干しなどの予防策を」と注意を呼び掛けている。


=2017/02/25付 西日本新聞朝刊=

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