疾患超えて 悩み語り合う 広がる「難病カフェ」 気軽に出会えるきっかけに

西日本新聞

 原因不明で治療法が確立していない難病の患者たちが、疾患を超えて悩みや情報を共有する「難病カフェ」が九州に広がっている。疾患ごとの患者会が高齢化して気軽な交流の場が減ってきた中、幅広い世代が就労や結婚、子育てなど共通する悩みを語り合える場として受け入れられている。

 2月下旬の土曜午後、北九州市小倉北区魚町の商店街の一角で「なんくるかふぇ」が開かれた。難病患者や栄養士、薬剤師などが相談に応じ、腸疾患の人も食べられる油不使用のケーキなどを提供。スタッフを含めて計40人が参加した。

 国指定難病の炎症性腸疾患(IBD)の患者会「福岡IBD友の会」と「ベーチェット病友の会福岡県支部」が昨年2月に初めて開き、今回が3回目。昨年10月の2回目から難病全体に対象を広げ、県難病相談・支援センター(福岡市)や北九州市などと「難病支援研究会」をつくって運営している。

 医療費助成の対象となる国指定難病は306疾患あり、全国の対象患者は約94万人(2015年度末)。最も多い潰瘍性大腸炎は約17万人に上るが、患者が数人の疾患も多く、患者同士の出会いは少ない。しかも、疾患ごとの患者会は高齢化が深刻で会員数も減っているという。一方、病気を知られたくないなどの理由で自宅にひきこもりがちな若い患者が目立つ。そこで、気軽に足を運べる機会を、と難病カフェが始まった。

 初回から関わる北九州市の山田貴代加さん(47)は、小学6年でIBDの一つ「クローン病」と診断された。症状が悪化すると、1日に何十回も下痢が続いて外出もままならない。病気を抱えての妊娠・出産が不安で入会した患者会で、出産経験のある会員に「赤ちゃんと2人でおむつしとけばいい」と言われて気が楽になり、救われたという。

 今は薬で症状をコントロールできているが、産後に腸閉塞(へいそく)を起こして手術を受け、小腸の長さは3分の1以下、大腸は半分になった。腎臓も患い、週3回は人工透析に通う。

 「一見、健康そうに見えるから周囲に理解されない」「病状に波があって就職が難しい。配慮があれば働けるのに」…。カフェでは悩みを語り合い、客同士の交流も生まれている。山田さんは「お茶を飲むだけでもいい。外に出るきっかけにして」と力を込める。

 北九州市のカフェの盛況をきっかけの一つとして、九州各地にも難病カフェが浸透。15年の難病医療法施行により行政の患者支援が拡充しつつあることも背景にある。

 福岡市では北九州市にならい、昨年5、10月に「ほっとカフェ リーディング福岡」が開かれた。難病患者ら5人による難病ネット・リーディング福岡がボランティアの協力を得ながら、今年も2回開く予定だ。

 熊本市では13の患者団体でつくる熊本難病・疾病団体協議会が2月下旬、初めて「クマナンカフェ」を開き、新年度は同県内で4回開くという。長崎市では、全身にさまざまな症状が出る「全身性エリテマトーデス」の奥村友揮(ゆき)さん(37)が昨年3月から、同世代が交流できる場にしたいと奇数月の第1土曜に有料老人ホーム翌檜( あすなろ )館で「Nagasakiの小さな難病カフェ」を続けている。

 佐賀市でも地域活動支援センター・難病サポートあゆむで「難カフェ」を月1~2回、オープン。宮崎市では、難治性疾患患者友の会(チーム・まるごとO・K!)が月1回、LEC宮崎校(同市橘通東)で「なんなんカフェ」を開いている。各カフェとも「ふらりと来て気軽に話をしてほしい」と呼び掛けている。

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 【ワードBOX】難病医療法

 2015年1月に施行。医療費助成の対象となる疾患が56から計306の「指定難病」に拡大した(4月から330となる予定)。難病の診療・研究態勢の充実や、各都道府県にある難病相談支援センターなどが患者の生活を支えるネットワークを構築することなどもうたっている。


=2017/03/09付 西日本新聞朝刊=

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