森へおいでよ 筑豊の自然再発見<27>石炭採掘の不要物 景色の中にボタ山が

西日本新聞

(1)木々に覆われた現在の住友忠隈炭鉱のボタ山撮影場所は飯塚市 拡大

(1)木々に覆われた現在の住友忠隈炭鉱のボタ山撮影場所は飯塚市

(2)石炭が交ざったボタ。白い砂岩の周りに黒い石炭が見られる撮影場所は筑豊某所 (3)燃えるボタ山(2010年5月撮影、現在は鎮火)撮影場所は久山町 (4)ボタ山のシャモット撮影場所は筑豊某所 (5)遊歩道のボタ撮影場所は健康の森公園(飯塚市自然体験プログラム「いいねん!」) (6)燃えた後の珪化木撮影場所は健康の森公園(飯塚市自然体験プログラム「いいねん!」)

 普段私たちが目にしている緑豊かな野山、その中には、かつて石炭を採掘した際に出たボタの上に草木が生い茂ったものがある。ボタとは石炭以外の不要な岩石や土砂のことである。

 炭鉱があった当時、ボタは高く積み上げられ、黒くとがった山となっていた。いわゆるボタ山である。中でも飯塚市の忠隈炭鉱のボタ山は筑豊富士とも呼ばれ、現存する数少ないボタ山として有名であり、日本の近代化遺産の一つとして注目されている=写真(1)。

 先日、飯塚市頴田付近をドライブ中、路上にボタが落ちているのを見つけた。車を降り木々が生い茂る斜面に目を移すと、赤や茶色の特徴的なボタが複数確認できた。ここはボタ山だったのである。

 かつてボタ山は「燃える山」の時代があった。ボタの中に少量の石炭が交ざっており=写真(2)、それが自然発火して燃えることがある。筆者も実際に見たことがあるが、山は煙り、アスファルトの臭いがしていた=写真(3)。以前こんなニュースもあった。小竹町に福祉施設を建設する際、敷地にボタを使用した。それが自然発火してしまい、その結果、建物の内部が高温になり、夏はクーラーも効かない状態になってしまった、というのである。

 ボタの中の石炭が燃えると周りの石も熱せられ変質する。これを筑豊ではシャモット(本来は粘土を焼いたれんがなどの材料を指す)と呼んでいる=写真(4)。シャモットは多孔質で軽く、水はけが良いという性質から、後に工事現場等で簡易的な道路の舗装材として重宝された。このようにボタを活用することで、不安定で崩壊の危険があったボタ山を、危険度の低い状態へと導いたのである。

 今でも筑豊では、あらゆる場所でボタを見る機会がある。飯塚市自然体験プログラム「いいねん!」の活動でも遊歩道に落ちているボタを見つけたことがあった=写真(5)。ボタの中には、針葉樹などの幹の化石である珪化木(けいかぼく)も数多く含まれている。特に燃えた後の珪化木は灰色に変色し、美しい年輪がはっきり見える=写真(6)。見つけた時は、ぜひ手に取って観察してほしい。

 【筑豊の自然を楽しむ会(ちくぜんらく)・黒河雅文(クロちゃん)】


=2017/03/23付 西日本新聞朝刊(筑豊版)=

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