完熟徹底 辛さと深み 大山の梅干し うちん一品 今も元気ちゃ(1)

西日本新聞

 地域おこしの先駆的取り組みとして注目を集めた、大分県の一村一品運動。シイタケ、車エビ、カボス、麦焼酎…。1979(昭和54)年のスタートから数々の特産品が全国デビューを果たし、古里は沸いた。

 それから今年で38年。提唱した平松守彦前県知事は昨年亡くなり、運動も少し色あせた。それでも、今もトップを走り続ける産品はたくさんあり、その知恵が生んだ新たな名物もある。何よりも、作り手の情熱は少しも変わらない。古くて、新しい一村一品。「いま」を探ってみた。

   ◇   ◇

 「梅栗植えてハワイへ行こう」で名をはせた大山町(現・日田市)。大分大山町農業協同組合は1961(昭和36)年から、農地に恵まれない山村の所得向上を目指し、収益性の高いウメやクリの栽培へ転換を図った。「梅や栗で稼いで豊かになり、憧れのハワイ旅行をしよう」と、農家を励ましたキャッチフレーズだ。10年がかりで定着したウメは、79年に始まった一村一品運動のモデルに。今も大山を代表する産品だ。

 大山の梅干しは、昔ながらの天日干し、シソ漬け。さらに「有機肥料」「完熟」「無添加・無着色」などのこだわりを徹底する。これを守ることで、アルカリ性食品の効能を失わないのだという。95年からは同農協が4年に1度開く「全国梅干しコンクール」で、生産者が切磋琢磨(せっさたくま)している。

 その一人、矢野伸太朗さん(49)は2007年の大会で入賞。選ばれたのは全国731点から10点だけだ。「これで自信がついた。梅干し一本でやる決心がついた」。ほかの作物をやめて農業法人「矢野農園」を起こし、より高品質の梅干し作りに挑んでいる。

 「梅栗」運動後の生まれだが、父征二郎さん(故人)ら先輩農家の頑張りを見て育った。「大山は農地がない分、少しでも価値あるものを作らんと。ネットで全国の品が買えるけん、小手先じゃすぐ見抜かれる」。自ら育てるウメは、実が落ちるぎりぎりまで完熟を徹底。自家製シソにたっぷり漬け込み、しょっぱさの中に深みのある味を目指す。南高梅の梅干し「豊の香梅(こうばい)」(1キロ2500円、500グラム1300円)が人気商品。

 「梅栗」から半世紀超。同農協は今、「週休3日農業」を掲げる。省力化・高収益化をさらに進めて、午前中だけ働き、午後は丸々自由な時間にしようというもの。1週間の労働は、4時間×7日=28時間。7時間×4日と同じだ。

 矢羽田正豪組合長(69)は「大山が100年後も生き残れるよう、農業を若者が継ぎたくなる仕事にしたい。小さな山村でも力を合わせれば何とかできる」。挑戦者・大山のDNAはしっかり受け継がれている。

 商品の問い合わせは木(こ)の花ガルテン大山本店。

 次は:宇佐の麦焼酎

=2017/01/01付 西日本新聞朝刊(大分)=

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