医療費助成変更で対象外に 難病軽症者 支援策活用を 治療控え病状悪化の恐れも

西日本新聞

軽症者への助成が外れることに不安を訴える秀島晴美さん 拡大

軽症者への助成が外れることに不安を訴える秀島晴美さん

 指定難病患者への医療費助成を目的にした難病法の助成基準が来年1月に統一され、特例として認められてきた軽症者は原則として対象外となる。2015年1月の施行後、助成対象疾患は旧事業の6倍となったものの、一部患者への助成がなくなることで「治療を控えるケースも増えるのでは」と不安視する声が上がる。難病法には基準統一に伴う軽減措置として医療費が一定額を超えた場合の支援策が定められており、厚生労働省は「各県などの保健所に相談し、早めに手続きを」と呼び掛けている。

 「服薬で何とか症状を抑えているのですが…」。全国の炎症性腸疾患の患者でつくるNPO法人「IBDネットワーク」理事の秀島晴美さん(54)=佐賀県唐津市=は不安を募らせる。23歳で指定難病の潰瘍性大腸炎を発症。腹痛や下痢、倦怠(けんたい)感に苦しみ、30~40代の頃は入退院を繰り返した。ここ5年ほどは病状が落ち着いているという。

 毎月の医療費は現在、特例の2割負担の恩恵もあり、上限の5千円以上を手出しすることはないが、助成外となると公的保険適用でも自己負担額は1万円を超えることも。秀島さんは「所得が低いほど負担感は大きく、治療をためらう患者が病状を悪化させる恐れもある」と懸念する。

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 難病患者への助成は1972年、国の特定疾患治療研究事業として4疾患で始まり、2009年10月までに56疾患に拡大された。これに対し、難病法は306疾患。厚生労働省によると、法施行前には延べ83万人だった支給認定患者数は延べ97万7千人となり、多くの難病患者にとって光明となった。

 だが、基準統一後も2割負担でおさまるのは中重症の患者。難病指定医が症状を診断する。軽症者は対象外となり、中重症者も自己負担の上限額は所得に応じて最大1万円引き上げられる。厚労省の担当者は「他の医療費助成制度との公平性を考慮した」と説明するが、対象外となる軽症者数は把握していないという。

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 軽症者が申請すれば、2割負担は継続されるが、「医療費総額が約3万3千円を超える月が年間3カ月以上」などが新たな条件として加わる。夏にも受け付けを始める佐賀県によると、過去1年分の医療費の領収書を保存し、受診先には専用手帳「自己負担上限額管理票」に総額を記録してもらうのが望ましいという。

 ただし「申請手続きを準備している人は少ないのが実情」と秀島さん。佐賀県内の開業医も「手続きを熟知した医療従事者は多くない」と明かす。書類に不備があれば照会に手間取り、軽減措置の空白期が生じる恐れもあるという。

 佐賀県内の患者団体は既に軽減措置の周知徹底や相談窓口の設置を求める要望書を県に提出。秀島さんは「助成外になれば医療福祉の支援情報も届きにくくなる。目配りが必要だ」と訴えている。


=2017/03/25付 西日本新聞朝刊=

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