今天中国~中国のいま(14) 「男らしさ」の教科書

西日本新聞

 北京の街角で時折、通勤ラッシュの時間帯ではないのに大渋滞している場所がある。小学校へ子どもを迎えに来た親たちの車が殺到しているためらしい。

 一人っ子政策が長く続いた中国。とりわけ男の子は大切にされ、1980年代生まれは「小皇帝」と呼ばれた。その世代の知人男性ですら「僕だって小学生のころ、1人でバスに乗って帰宅していました。最近の男子は過保護ですよね」。

 「女漢子」(たくましい女性)という言葉が生まれる一方、「男らしい男子が減っている」と心配する向きが一部にあるようだ。

 南京市の中高一貫校は昨年、男子生徒を対象に「おとこ気」を養うクラスを新設した。地元紙によると、体力の向上や紳士のマナーを教える。きっかけは新入生を対象にした軍事訓練。音を上げた生徒の半数以上が男子生徒だったという。上海では「男らしさ」を教える小学生向けの教科書が初めて発行された。

 軟弱化の原因分析はさまざまだ。一人っ子は溺愛されるという事情に加え、受験教育の弊害も指摘される。中学生の息子を持つ公務員男性は言う。「受験競争は厳しい。息子はとにかく勉強ばかり」。日本で大ヒットしたドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」のように、「草食系男子」が登場する日韓のドラマの影響という声もある。

 ことさらに男女の別を重視する考え方に批判もあるが、ただでさえ、中国は男女人口比がいびつ。女性が少なく、2020年以降、配偶者のいない男性が1割を超えるという試算もある。「男を磨く」ことは必須になるかもしれない。 (北京・相本康一)

 =随時掲載

=2017/02/01付 西日本新聞朝刊=

PR

社会 アクセスランキング

PR

注目のテーマ