今天中国~中国のいま(18) 救急車呼んだら有料

西日本新聞

総合病院に行くと、いつも患者でごった返している。医師数は不足がちだ=北京 拡大

総合病院に行くと、いつも患者でごった返している。医師数は不足がちだ=北京

 北京の公立総合病院を訪ねると、掲示板が目に入った。医師の名前がずらりと並び、肩書や専門に加え、それぞれ100元(約1600円)~500元(約8千円)といった金額が記されている。首をひねっていると、知人が教えてくれた。「受診するための受付料ですよ。医師のランクによって金額が違うんです」

 症状や財布の中身と相談しながら、どの医師に診てもらうかを自分で決めて窓口に並ぶわけだ。北京の大病院には地方から患者が詰め掛けており、いつも行列。受付整理券を法外な値段で売るダフ屋も出現する。

 黒竜江省から来たという女性2人が順番を待っていた。「仕事を休んで母親に付き添って来ました。昨夜は安宿に1泊。今晩、夜行で帰ります」と女性(46)。隣にいる母親は疲れた表情だった。もちろん、薬や検査代などは別。医療保険はあるが、勤め先によって自己負担額は異なる上、出稼ぎ者は蚊帳の外だ。

 救急車も無料ではない。搬送先の病院で走行距離に応じて請求される。しかも台数が足りないらしい。中国紙は先日、北京の大病院の周辺で「偽救急車」が出現したと報じた。医療設備を備え、料金を支払えば地方まで患者を送迎してくれる。需要があるのだろう。

 社会主義国家の看板を掲げる中国。現実には、弱肉強食の顔をむき出しにする場面が多い。改革・開放にかじを切って以来、あらゆる分野で市場化が進んだ結果だ。人々は改善を願いつつ、病院の行列に並ぶ。

 改革・開放を進めたかつての最高実力者、〓小平氏が死去して19日で20年を迎えた。泉下から、彼はどう見ているだろう。 (北京・相本康一)

※〓は「登」に「おおざと」

 =随時掲載

=2017/02/20付 西日本新聞朝刊=

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