森へおいでよ 筑豊の自然再発見<28>むしの世の定め 皆さんお元気ですか?

西日本新聞

 春はむしたちが、文字通り、蠢(うごめ)きだす季節であるが、一斉に目覚めるわけでは、決してない。種によって時期が異なるだけでなく、同種でも越冬場所の日当たり具合で異なる上、大きい個体ほど体が温まりにくいためである。実際、暖かい日には採餌(さいじ)し続けている種すらいる=写真(1)。少しでも活動期間を長くして成長量や産卵数において有利になるためであろう。

 とはいえ、いずれの種でも動けない期間はさまざまな隙間に潜んでいることが多く、偶然、そのような個体に出くわすこともある=写真(2)。

 また、板切れをひっくり返すと緑鮮やかなむしがいることもある=写真(3)。暗い隠れ場所なら何色でもいいはずであるが、冬越し明けの緑の草間に紛れるための保護色ということであろう。

 水中でも、石の下などにじっとしている個体を見つけることができる=写真(4)。

 しかし、彼らの努力のかいもなく無事に春を迎えられない個体も少なくない。

 暖かい日に動き回るが=写真(5)、餌や水分にありつけず、体内の蓄えが底をつき、冬半ばで力尽きる場合がある=写真(6)。建物内で越冬した個体で、このような事態に陥ることがままある。

 まるで生きているかのような姿で死んでいる場合、凍死も疑われる=写真(7)。冬という季節がある地域のむしには、凍結しにくい仕組みや、体液は凍結しても細胞が凍結しにくい仕組みを持つものもいる。しかし、その能力を超える低温や、越冬場所の選択ミスなどにより死ぬことも多い。

 さらに、恒温動物である鳥やネズミなど冬にも活動できる天敵に捕食されることも少なくない=写真(8)。恒温動物は、体温維持に多量のエネルギーを要するが、その分、寒い時期に動けない変温動物を捕食できるメリットもある。

 と書きながら、人ごときに見つかるようでは=写真(1)~(4)、命がけで餌を探している鳥や獣に、そのうち見つかるであろう。早く暖かい季節になってほしい、とむしの気持ちを代弁したくなった。

【筑豊の自然を楽しむ会(ちくぜんらく)・岸本×太(ばった)】


=2017/03/30付 西日本新聞朝刊(筑豊版)=

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