新社会人向けのお薦め絵本は? 自分と向き合う3冊いかが

西日本新聞

 ●新社会人向けのお薦め絵本は?

 門出の季節を迎えました。新社会人にさりげなくエールを送りたいのですが、プレゼントにお薦めの絵本はありますか。

 ●自分と向き合う3冊いかが

 猫の小町と申します。皆さんがお困りのことをたちまち解決していきます。約7千冊がそろう絵本図書館「ビブリオキッズ」(福岡市)の司書安藤宣子さん(46)に、えりすぐりの3冊を聞きました。

 (1)はじまりの日 (ボブ・ディラン作、岩崎書店、1728円)

 原題は「forever young」。昨年ノーベル文学賞を受賞したディランさんの名曲がベースとなっている絵本です。彼が息子を思って書いた絵本で「こんな大人に成長してほしい」という願いが込められています。読んでいると、誰かに見守られているようなぬくもりや希望を感じられます。

 原題を直訳すると「いつまでも若く」ですが、詩人アーサー・ビナードさんは「はじまりの日」と訳しました。何かに失敗しても、新たな挑戦が不安でも、いつだって今日が「はじまりの日」。安藤さんは「いろんな節目に読むと背中を押してもらえますよ」と太鼓判を押します。

 (2)ねこのピート だいすきなしろいくつ (エリック・リトウィン作、ひさかたチャイルド、1404円)

 猫のピートは、真っ白いスニーカーがお気に入り。「しろいくつ さいこう!」と歌いながら、上機嫌で出掛けますが、途中で靴が汚れて、どんどん違う色に変わります。でもピートは落ち込みません。「あかいくつ さいこう!」「ちゃいろいくつ さいこう!」と前に進み続けます。子どもも大好きな絵本ですが「実は物語の背景にあるのは『日々是好日』という禅の教え。ありのままを受け入れて精いっぱい生きれば、どんな日も最高な一日となるというメッセージが込められているんですよ」。

 (3)最初の質問 (長田弘作、講談社、1620円)

 中学校の国語の教科書にも掲載されている詩の絵本です。作者からぽつりぽつりと質問を投げかけられ、自分自身と向き合わされて「はっ」としたり「どきん」としたり。「読む人、読むタイミングで感じることが変わるので、私も10人以上にプレゼントしました」と安藤さん。いせひでこさんの絵を眺めるだけでも心が洗われるような作品です。

 安藤さんは、会員制交流サイト(SNS)などで常に誰かとつながっている人にこそ絵本を薦めます。読むことで「1人で内面を見つめ生き方を考えられる」からです。「自分はどんな人間で何を大切にしているのか。アイデンティティーがしっかりしていないと、与えられた仕事をこなすだけで何も深まらないのではないでしょうか」

 お助けいただき、ありがとうございました。


=2017/04/05付 西日本新聞朝刊=

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