残業規制どう変わる? 2ヵ月連続80時間超 だめ 「休日労働」法の抜け穴に

西日本新聞

 政府の働き方改革実現会議が先月28日にまとめた実行計画で、時間外労働(残業)に初めて罰則付きの上限規制を設けることになった。労働基準法などを改正し、早ければ2019年4月から順次施行される見通しだ。私たちの働き方にどう影響するのだろうか。

 労働時間は労基法で1日8時間、週40時間までと定められ、超えると残業となる。今は労使合意があれば際限なく残業できる仕組みなため、今回の見直しで上限を原則「月45時間、年360時間」と明確にし、違反した経営者には特例を除き罰則を科すことにした。

 特例で認められるのは、特に忙しい繁忙期などに対応するため労使協定を結んでいる場合。ただし協定があっても「年720時間(月平均60時間)」を超えてはならないようにした。さらに原則の月45時間を超えるのは年6回まで▽2~6カ月の平均は80時間以内(休日労働を含む)▽単月でも100時間未満(同)-とする規制も加えた。これらの上限は、過労死の労災認定基準となる残業時間を踏まえて設定された。

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 事務職Aさんを例に見てみよう。Aさんは週5日、1日8時間(月-金曜の午前9時~午後6時、休憩1時間)働いている。今回の規制で原則「月45時間、年360時間」が上限となったが、月により大きく変動するため、会社は労使協定を結び、繁忙期の上限を「100時間未満」とすることにした。

 Aさんが「月45時間」の範囲内で残業すると、平均して1日2時間程度、午後8時ごろには退社する計算。しかし上限まで働いた場合、年6回は月45時間を超え、ある1カ月は99時間59分まで可能になる。ただし平均を80時間以内に抑える必要があり、3月に100時間ぎりぎりまで残業すると、2月や4月は60時間以内でなくてはならない。

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 ところが新たな上限には“抜け穴”もある。

 労基法は、労働者に週1日、4週で4日以上の休日を与えるよう定める。この休日に働くことを休日労働と呼ぶが、上限である「月45時間」や「年720時間」にはこの分が含まれていないのだ。

 つまり休日労働を上乗せすると、繁忙期以外でも月平均80時間まで延長でき、Aさんが年960時間まで働くこともあり得る。経営者の意識改革と、監督機関による厳しいチェックが求められている。

 ●建設業など一部猶予 業界で是正の動きも

 新たな残業規制は、研究開発業務は適用の対象外となる。また自動車の運転業務▽建設業▽医師-は、規制導入が改正法施行後5年間猶予される。限られた期間で成果を求められる点や、取引慣行のため規制しづらい業界の事情に配慮した。

 福岡市の「九電工」も、規制が猶予される建設会社の一つ。ビルの電気、空
調管工事などを手がけ、建設作業全体の進み具合次第で残業が必要になることが少なくない。従業員の平均残業時間は月30時間ほど(昨年)だが、技術部門は100時間を超えることもあるという。

 こうした繁忙期の残業に備えて、同社は労使協定で「年750時間」を上限としてきたが、将来の規制に先駆けて今月から「年720時間」に見直した。技術部門の業務を事務部門が支援したり、有給を1時間単位で取れるようにしたりして、長時間労働の是正を急いでいる。

 労務福祉グループ長の下村晋二さん(46)は「少子化が進む中で人材を確保するためにも、働き方改革が必要と考えている。顧客に理解してもらい業界全体で取り組めるように国がリードしてほしい」と話した。


=2017/04/07付 西日本新聞朝刊=

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