復興住宅完成、来夏にも 西原村・日置和彦村長に聞く
熊本地震の発生から1年を前に、西原村の日置和彦村長は西日本新聞のインタビューに応じ、被害の大きかった宅地の早期復旧の重要性を強調し、事業の迅速化を図る方針を示した。
-1年間の災害対応を振り返って。
最優先と考えていたのは住まいの確保で、仮設住宅の着工から完成まではスムーズにいった。ただ、個々の住宅再建の支援はこれからだ。宅地の再生なくして住家の再建なし。今月中旬から、国庫補助事業の対象となる被災宅地の復旧工事の申請を受け付け、迅速に取り組みたい。
-災害公営住宅(復興住宅)の建設のスケジュールは。
仮設住宅の入居開始から2年になる来年7月の完成を目指す。これまでの意向調査を踏まえ、村内3カ所で計80戸の整備を計画している。小森地区の木造の仮設住宅を改造し、復興住宅として活用したい。近いうちに再度アンケートを実施し、最終的な必要戸数を確定したい。
-東日本大震災の被災地では、復興住宅の完成が遅れるなどして深刻な空室問題が生じた。
(入居を希望する人に)確約書のような書面にサインをもらうことを考えている。復興住宅ではない民間物件にも家賃補助をする方法などを検討したい。
-益城町の仮設住宅で先月末、熊本地震で初の孤独死が確認された。村での懸念や対策は。
村では集落ごとにまとまって仮設住宅に入居しているため、比較的地域のつながりを維持したまま仮設の生活に移れた。ただ、引きこもりがちな単身世帯もある。地域支え合いセンターや民生委員の戸別訪問を継続し、顔をつき合わせる支援で孤独死を防ぎたい。
-集落再生の話し合いが各地区で開かれている。一部では、協議の停滞を訴える声も上がる。
話し合いがまとまっている集落と滞っている集落の差が生まれ始めている。村としては集落の意向に沿ってサポートしたい。住民間の意見をまとめてもらうことが前提だ。
-次の1年の抱負は。
まずは本年度中に、公道のほか、農業用水路や農業施設の復旧工事の発注を終わらせたい。できるだけ元の場所に戻ってほしいという思いがある。村外への転居に歯止めをかけるためにも、被災宅地の復旧にスピード感を持って取り組みたい。
=2017/04/13付 西日本新聞朝刊=