森へおいでよ 筑豊の自然再発見<30>森では見かけない鳥 いないのを知れば…

西日本新聞

 ある日、森を歩いていたとしよう。手前の道から灰色っぽいハトが1羽飛び立って木々の中に入った。そのとき、ハトの仲間であることは分かったが種類までは確認できなかった。

 筑豊で見られるハトの仲間は3種類。その中で灰色っぽいハトはキジバト=写真(1)とカワラバト(ドバトともいわれる)=写真(2)である。さらに、カワラバトは群れで森の周辺を飛ぶことはあっても、森の中で単独行動しているのを見ることはない。

 これらを考えて、飛び立ったのはほぼ間違いなくキジバトだと推測できる。

 次に、昼間、森の中で何も鳴かずに木に止まっているカラスを見かけた、としよう。そのカラスはかなり高い確率でハシブトガラス=写真(3)である、と言える。

 筑豊で見られる他のカラス(留鳥のハシボソガラス=写真(4)、冬鳥のミヤマガラスとコクマルガラス=写真(5))は、ねぐらとして森を利用することはあっても、昼間の活動の場は田畑のような開けた場所なので森にはいない。

 このように、森にいない鳥を知っていると、森で見かけた鳥が何であるのか、特定できないまでもかなり絞り込むことができるのである。

 誰もが知っているスズメ=写真(6)も、人間のいない森にはいない鳥である。スズメは人間の作った田畑で餌を採り、民家の屋根の隙間などに営巣する。昔から人間のすぐそばで生活している鳥なのである。

 同様に、人工物に巣をつくるツバメ=写真(7)の仲間も森の中で見ることはほとんどない。彼らは人間に付かず離れず微妙な距離をとって暮らしているのである。人間の近くにいるため、スズメやツバメには天敵のカラスもうかつに手を出せない。これらの種は森という自然環境を利用するより、人間とうまく共存していくことで生き延びてきた種である、と言える。

 名前がよく知られているヒバリ=写真(8)やモズ=写真(9)なども、森の周辺で見られることはあるが、森の中ではほとんど見られない種である。

 これから図鑑で調べる際、姿・色・形だけでなく、どういう環境に生息しているのかにもぜひ目を通していただきたい。

【筑豊の自然を楽しむ会(ちくぜんらく)・木村直喜(ザ・バードマン)】


=2017/04/13付 西日本新聞朝刊(筑豊版)=

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