森へおいでよ 筑豊の自然再発見<31>里山の恩恵、春版 少し攪乱、長く収穫

西日本新聞

 春の里山の魅力は、やはり、山菜採りである。山菜の天ぷらの味=写真(1)を知ると、人は自身で採りたいと思い、特徴を覚える。すると、離れたところからでも見つけ、やぶこぎもいとわなくなる=写真(2)。これが一般的な山菜採りのイメージであろう。

 筆者は、友人や観察会の参加者と山菜を採る際、その植物の生態と里山のあり方についても触れるようにしている。たいていの山菜は、深山幽谷の珍奇な植物などではなく、人が立ち入ることで生じる攪乱(かくらん)を好む身近な植物で、採るための行為が里山を明るくし、結果、毎年継続して得られることにつながる、と。

 そんな攪乱好きな山菜にスギナがある。スギナは、常に草が刈られる明るい土手などに繁茂し、春につくしを伸ばす。つくしといえば、卵とじははずせない=写真(3)。ほろ苦さは大人の味であるが、たくさん生えているのを見つけると、子供たちも集めたくなるらしい=写真(4)。逆に大人は、この後の処理を考えて迷惑そうな顔になる=写真(5)。まあ、仕方ないか…。

 さて、先日の観察会では、当会のきのこはかせがコナラの枯れ枝にタマキクラゲなる春のキノコを見つけた。タマキクラゲといえば…。何も思い浮かばない。にもかかわらず、食べられる、と聞くとうれしくなって採ってしまう=写真(6)。

 きのこはかせはこれを、観察会の下見=写真(7)と、当日=写真(8)とで味を変えて甘くしてくれた。キノコを甘くするなんて、と思うことなかれ。筆者は、生チョコをおきゅうとで包んで食したとき以上に感動した。タマキクラゲが生じるコナラは、明るい環境を好む陽樹であることから、この感動を呼ぶデザートには人手が入る明るい里山が必要とわかる。

 イタドリは、明るい林縁や河原などの攪乱された環境に繁茂し、笛にしたり、茎にたまった水を飲んだりして楽しめる=写真(9)。そして、草なのに、なんとジャムにもなる。お味は、試食してくれた友人の自信有りげな顔から判断されたい=写真(10)。

 今後もこれらの山菜を採れるよう、適度な攪乱を与えたいものである。

【筑豊の自然を楽しむ会(ちくぜんらく)・岸本×太(ばった)】


=2017/04/20付 西日本新聞朝刊(筑豊版)=

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ