防災のヒント 熊本地震1年<4>逃げる 頭と足守り、徒歩で避難を

西日本新聞

 地震が発生し、揺れが収まったら避難することになる。熊本地震でも被災地でボランティア活動を続けた日本防災士会大分県支部長の田中昭次さん(58)=同県宇佐市=に、避難の手順や注意点を聞いた。

 ◆枕元に靴を置いて

 熊本地震の本震があった昨年4月16日、熊本県益城町の避難所にいた田中さんは「現場で手当を受けていた人の多くは頭と足元のけがだった」と振り返る。本震の発生は午前1時25分。暗闇の中で自宅から避難する際、倒れかかった室内の家具に気付かず頭をぶつけたり、床に散乱したガラスの破片で足をけがしたりする例が目立ったという。

 寝るときは枕元に靴を置き、万一の場合は室内でも靴やスリッパを履いて避難することが重要。ガラス片などが中に入らないよう、靴底を上に向けて置いておくのもポイントだ。靴と一緒に懐中電灯や非常持ち出し袋も備えよう。

 ◆安全な広い場所へ

 家の中で地震に遭い、外に逃げ出すときは、すぐに公民館や体育館などの指定避難所を目指すのではなく、まずは近くの広場など安全な場所を目指す。

 こうした一時的に避難する場所を、家族や近所の人とあらかじめ話し合っておくと、その場で互いの安否が確認できる。家族と離ればなれで被災した場合も、一時避難場所を集合地点にし「外で被災しても家には寄らない」と決めておく。

 そこから行政が定めた指定避難場所へ集団で移動するのが理想だ。原則は徒歩の避難。道路が損壊していることがあるので、乳児はベビーカーではなく抱っこで。歩くのが難しいお年寄りや障害がある人は車椅子を活用する。余裕があれば道路の破損状況を指定避難所の情報収集役に伝える。

 ◆着の身着のままで

 避難時はどんな格好をすればいいのか。

 「大きな地震だと着替える余裕はないので、とりあえず着の身着のままでいい」と田中さん。熊本地震では寝間着姿で避難する人も多かったという。指定避難所に入れなかったり、余震が続き車中泊を強いられたりして防寒対策が必要になることもある。非常持ち出し袋に「保温シート」を入れておいて体に巻けば、毛布などの物資が届くまで当面は寒さがしのげる。

 ◆訓練には工夫必要

 万一の時にものをいうのが日ごろの避難訓練だ。地域の広報誌などに目を通し、情報を集めて積極的に参加したい。主催側も参加率を高める工夫が必要。頻繁に行えば飽きられるので、年に1回程度、レクリエーションなども組み合わせて実施したい。

 ●家族の安否確認は? 災害用伝言ダイヤル 「171」活用を

 大規模災害が発生し、離れた家族や親族に安否を知らせたいときは、NTTの「災害用伝言ダイヤル(171)」を活用したい。

 被災者は「171」に電話し、音声案内に従い自分の携帯や自宅の電話番号を登録すると、無事を知らせたり連絡を求めたりする伝言メッセージが録音できる。

 親族などが録音を聞く場合は「171」に電話して、被災者の電話番号を入力すればメッセージが再生される。通信規制で電話がつながりにくいときも、優先的に使える。インターネットを使った同様のサービス「災害用伝言板(web171)」もある。

 「あらかじめ登録する番号を家族で決めておいてほしい」とNTT西日本の災害対策室担当者。毎月1、15日は体験利用もできる。


=2017/04/22付 西日本新聞朝刊=

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