全小中学でサポーター講座 軒先に「オレンジリング」 認知症にやさしい地域へ 熊本県菊池市の松永美根子さん 京都の国際会議で発表

 13年ぶりに日本で開かれている「国際アルツハイマー病協会国際会議」。最終日(29日)の全体会議で、「認知症にやさしい地域社会」として熊本県菊池市の取り組みが発表される。英国やカナダ、シンガポールなど世界8地域の取り組みと並んで先進例として紹介される。

 発表するのは、菊池市泗水町の介護老人保健施設「孔子の里」副施設長、松永美根子さん(65)。松永さんは認知症介護指導者であり、医療・福祉の専門職でつくる「認知症の人と共にくらす会きくち」(150人)の副会長でもある。

 そもそも熊本県は、認知症を理解し、支援する「認知症サポーター」と、サポーターを養成する「キャラバン・メイト」の人口に占める割合が2016年度は15・5%と、09年度から8年連続で日本一。全国平均6・5%の2倍以上で、全国キャラバン・メイト連絡協議会(東京)によると、高齢者1・8人に対し1人の支援者がいる計算だ。

 中でも、菊池市はこの割合が28・3%と、県内でも高い。松永さんは、県や市が取り組む認知症の人や家族を支える地域づくりについて報告予定。「認知症サポーターが浸透したポイントは、教育関係者に加わってもらうなど活動の裾野を広げたこと」と強調する。

 菊池市では09年から、市内の小中学校で認知症サポーター養成講座を始め、現在は10小学校と5中学校の全校で実施。認知症サポーターに含まれる「認知症キッズサポーター」は3月末現在、6860人に上る。

 一方で、教育関係者から「学校では知らない人に声を掛けないと教育している。認知症が疑われる心配な高齢者であっても、知らない人に声を掛けるよう指導して誰が子どもの安全を守るのか」という指摘が出た。こうした声に応えるために広がったのが、大きなオレンジリング事業だ。

 「認知症の人に優しい気持ちで接します」「迷い人を発見した小中学生の相談窓口になります」など七つの宣言をした、市内計806の見守り協力者や協力事業所が、軒先に大きなオレンジリングを掲げる。子どもたちは心配な高齢者を見つけたら、リングを掲げている店や事業所の大人と一緒に声を掛ける、という仕組みを構築した。

 松永さんによると、こうした取り組みで、認知症に関心を持つ市民が増え、地域で高齢者を見守る目が育ってきたという。松永さんは「地域のことは住民が一番よく知っているし、支援もしやすい。国際会議を機に、認知症の人を支える地域力を上げる取り組みが各地に広がれば」と話している。


=2017/04/27付 西日本新聞朝刊=

PR

開催中

だざいふ子ども絵画展

  • 前期2021年11月11日(木)~23日(火・祝)、後期27日(土)~12月10日(金)
  • 太宰府市文化ふれあい館 エントランスホール
me music マリンワールド海の中道 外洋大水槽前から

PR