酒造用芋あえて使わず 福岡・川崎町の焼酎「たばらそだち」

西日本新聞

 トクトクトク…。一升瓶を傾けグラスに注ぐ音が心地よい。氷をゆっくり回しながら一口。甘い香りとこうじの芳香、サツマイモ特有の甘みが楽しい。芋焼酎「たばらそだち」=写真上。1口4千円の出資をした会員限定の焼酎だ。

 ただし、お金を出しただけでは駄目。原料のサツマイモの苗さしから収穫までの間、1度は福岡県川崎町田原の畑で農作業をする=同下=ことが会員の条件になっているから。

 使う品種は、焼き芋にするとおいしい高系14号。「家族で参加してもらい、子どもたちにも土に触れてもらおうと、あえて酒造用品種にしなかった」と「たばらそだちプロジェクト」代表の手嶋洋司さん(49)。

 高系14号は、焼酎を造る際、専用品種に比べ、芋の蒸し加減が難しいのだが、「皆さんが丹精込めて作った芋だから、こちらも負けられん」と、心意気で対応しているのが、小林酒造本店(同県宇美町)の杜氏(とうじ)、平田慎一さん(56)だ。

 一般に芋焼酎は蒸留した原酒を氷点下で冷やし、中に溶けている油分を凝固させて取り除くが、この方法だと原酒に含まれるうま味成分も一緒に除かれる。一方、たばらそだちは常温でゆっくり冷まし、取り除く油分を最小限にとどめつつ、飲むときに気にならないぎりぎりの状態で仕上げるのだという。

 原料の作り手と酒の造り手が特別の手間暇をかけた粋な焼酎。貴重な一口を味わうため、1口いかが?

 ▼たばらそだち 農作業は5~10月に苗さし、草取り、芋掘りなど。出資1口につき「たばらそだち」1本(1.8リットル)を配当。みそづくり教室なども開く。申し込み締め切りは16日。


=2017/05/06付 西日本新聞夕刊=

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