【京都でラグビーW杯抽選会】 徳増 浩司さん

西日本新聞

◆スポーツ黄金年 幕開け

 私の勤務するラグビーの2019年ワールドカップ(W杯)日本大会組織委員会事務局は、このところ、夕刻ともなると、けたたましい電話の音や、各部署での打ち合わせの声で殺気立っている。

 10日に京都迎賓館(京都市上京区)で組み合わせ抽選会が行われるからだ。9回目を迎えるW杯史上、抽選会が英国とアイルランド以外で開催されるのは初めて。国際ラグビー界のトップ、出場チームの代表者らに加え、政府要人、開催会場の首長ら200人以上が出席する。

 京都は日本文化・伝統の代名詞。組織委の粘り強い努力で9日の前夜祭を世界遺産の二条城(同市中京区)、抽選会場を京都迎賓館としたのは、ひとえに「日本から世界へ発信をしたい」という強いメッセージがある。私もアジアラグビーの会長として出席するが、大きなインパクトになるに違いない。

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 19年W杯をはじめとして20年の東京五輪・パラリンピック、21年は生涯スポーツの国際大会であるワールドマスターズゲーム(関西一円)と、世界規模のスポーツイベントが3年連続で続く。早稲田大学スポーツ科学学術院の間野義之教授はこの3年間を、地方を活性化させる千載一遇のチャンスとしてわが国の「ゴールデン・スポーツイヤーズ」と呼んでいる。京都迎賓館での抽選会はまさにその始まりを高らかに象徴している。

 この3年間は九州にとって一層大きな意味を持つ。福岡、大分、熊本がラグビーW杯の開催会場となる上に、19年には熊本で女子ハンドボール世界選手権、21年には福岡で世界水泳選手権が開かれる。これにラグビーW杯や東京五輪等のキャンプ地も加えると、まさに「スポーツ黄金年」ということができよう。

 そんな中で、スポーツ庁が3月に第2期「スポーツ基本計画」を発表した。21年度までの新たな5年計画であり、「3年間のスポーツ黄金年」を見据えた力強い計画案だ。

 11年に施行されたスポーツ基本法では、わが国のスポーツが、それまで「スポーツ好きな人たちだけのもの」と認識されていたものを、「スポーツは世界共通の人類の文化である」「スポーツは国民の権利である」と明確に位置付けた。そして、2年前にはスポーツ庁が創設された。「運動会」をマラウイの小中学校に紹介したり、「ラジオ体操」のトンガへの普及を計画し、独自性ある日本のスポーツを世界に発信するなど、スポーツに関する施策を総合的に推進してきた。

 今回の基本計画はさらに一歩踏み込み、スポーツの枠を超えた異分野との連携で、全ての国民がスポーツの価値をまんべんなく享受できる方向性を示した。スポーツで(1)「人生」が変わる(2)「社会」を変える(3)「世界」とつながる(4)「未来」を創る-という四つの価値項目を挙げ、スポーツへの参画を促している。

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 わが国のスポーツ文化が世界から注視される3年間が迫る。私たち一人一人が、この「奇跡の3年」にどう向かい合うかによって、その3年が過ぎ去ったあとも、自らの生活の中でのスポーツの価値を高めることができると言ってもいいだろう。

 私たちは、「する」「みる」「ささえる」のどこからでもスポーツに参加できる。「する」は、スポーツクラブに入らなくとも、今朝の散歩からでも始められる。「みる」は、スポーツする仲間を応援することから始められる。そして「ささえる」は、ボランティア活動を筆頭に、誰もが自分のできる範囲で参画できる裾野の広がりを持っている。スポーツへの入り口は意外と身近なところにある。今こそ自ら行動を起こしたい。

 【略歴】1952年、和歌山県生まれ。国際基督教大(ICU)卒、新聞記者を経てカーディフ教育大留学。帰国後、茗渓学園高ラグビー部を率いて全国優勝。95年から日本ラグビーフットボール協会勤務、2015年にアジアラグビー会長就任。


=2017/05/07付 西日本新聞朝刊=

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