蜂蜜、滋養たっぷり 「ビタミン、ミネラルが命」

西日本新聞

 口内炎に悩む記者にとって、蜂蜜は食品であるのと同時に常備薬でもある。単なる甘味料の枠には収まらない蜂蜜の魅力を調べた。

 蜂蜜の主な成分はブドウ糖と果糖。すぐにエネルギーになるため疲労回復には最適とされている。養蜂業40年超という矢部勝さん(72)=福岡県久山町=は「蜂蜜の命はビタミンやミネラル」と強調する。ビタミンB群、鉄・ナトリウム・カリウムなどのミネラルのほか、ジアスターゼなどの酵素、各種アミノ酸も含まれ、抗菌・消炎作用も期待される。

 熱に弱いビタミンなどの効能を生かすためにも、そのまま食べるのが最適だと矢部さんは言う。

 「毎朝、ヨーグルトに混ぜたりパンに塗ったり。高1の息子は胃腸が強くなり病気もしなくなったようです」。会社経営、萩尾栄太郎さん(54)=同県古賀市=の家族は10年ほど前から蜂蜜を食べるのを習慣にしていて、効果を実感しているという。

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 蜂蜜は風邪の予防や喉のケアにも重宝する。バンドでボーカル担当だったという福岡市西区の大学院生(29)は「蜂蜜大根」を薦める。5センチほどの厚切り大根に、さいの目状に切れ目を入れ、たっぷりの蜂蜜を垂らして食品保存容器で1日ほどおいて作る。たまったエキスはそのままか、お湯で薄めて飲む。「最後は大根の蜂蜜漬けとして楽しめる」

 蜂蜜は古来、薬のように扱われてきた。韓国の宮廷料理にもメニューが伝わる。研究家の西田圭子さん=同県筑紫野市=が薦めてくれたのは、焼き肉やビビンバなどの料理を引き立てる「薬(やく)コチュジャン」。冷蔵庫で1カ月間は保存可能な便利な一品。「チャプチェやナムルなども元々は宮廷料理。それが庶民に広まった。辛さだけではない韓国料理の魅力を堪能してほしい」と話している。

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 蜂蜜の恩恵に浴するために大事なのは商品の見極めだ。矢部さんが薦めるのは国産品。輸入原料は糖度を規格に合わせるため加熱濃縮する例が多く、ビタミンが壊れているという。

 市販品の表示は業界団体による自主基準にすぎないという問題もある。国の2008年調査では原材料名に「はちみつ」のみの表示があった「純粋はちみつ」304点のうち、18点から炭酸飲料にも含まれる甘味料混入の可能性が認められたという。

 では「本物」を選ぶにはどうすればいいのか。「正直言って難しいのが実情」と矢部さん。「信頼できる顔の見える業者から購入して、本物の『こく』を五感で覚えてほしい」という。

 働き蜂1匹が一生に集める蜂蜜は小さじ1杯。ペロッとなめて一生分の滋養を取ったことになる。心して味わいたい。

 ★薬コチュジャン

【材料】コチュジャン250グラム/牛肉赤身50グラム/蜂蜜大さじ2/日本酒大さじ3/松の実大さじ1と1/2/ごま油大さじ1/2/A(しょうゆ大さじ1/2、砂糖・白ネギ・ごま油各小さじ1、ニンニク・半ずりごま各小さじ1/2、コショウ少々)

【作り方】(1)みじん切りにした牛肉赤身にAで下味を付ける(2)(1)をフライパンで焦がさないようにカラカラに炒める(3)(2)を包丁でさらに細かく刻む(4)フライパンにコチュジャンを入れて日本酒でよく溶かす(5)(4)に(3)を加えてよく混ぜながら炒める(6)ごま油を加えて30分以上練る(7)火を消して蜂蜜と松の実を入れ、よく混ぜて出来上がり。

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 ●乳児はボツリヌス菌に注意

 蜂蜜で注意しなければならないのは、1歳未満の乳児には食べさせないことだ。東京都は4月、蜂蜜を摂取したことが原因で乳児ボツリヌス症になったとみられる生後6カ月の男児が死亡したと発表した。発症1カ月前から、家族が離乳食として1日2回ほど計約10グラムをジュースなどに混ぜて飲ませていたという。

 内閣府の食品安全委員会などによると、ボツリヌス菌は土や川に広く存在する細菌。腸内細菌の活動が弱い乳児の腸内に入ると増殖して毒素を出し、中毒症状が現れる。乳児には菌が混入する恐れのある蜂蜜、コーンシロップ、自家製野菜ジュースなどは避ける。1歳以上になると生鮮食品などを介して体内に入っても菌は繁殖できない。


=2017/05/10付 西日本新聞朝刊=

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