海峡越え 励まし合い10年 日韓の小児がん経験者交流 「悩みを分かち、前向きになれた」

西日本新聞

 日韓の小児がん経験者やその親、支援者など約90人が19日、福岡市東区の九州大病院で交流した。この日韓交流行事は2008年、「がんの子どもを守る会」九州北支部(福岡県)の呼び掛けで始まり、10回目。今回が最後となったため、両国の参加者たちは「国を超えて同じ悩みを持つ人がいることは心の支えになった」と活動を振り返った。

 日韓交流は08年当時、韓国の小児医療が日本に比べて公的補助などが不十分だったことから、情報交換を目的に始まった。ほぼ毎年、両国を交互に訪問し、10回で延べ約700人が参加した。

 交流を機に、韓国の小児がん患者の親の会が国に治療への公的補助を働き掛けるなどして、韓国での小児がん治療費の自己負担は徐々に軽減された。当初の目的がある程度達成されたため、日韓交流は終了し、今後はアジア全域の交流に発展させたいという。

 14歳で脳腫瘍となり、化学療法や放射線治療を繰り返したという金〓(〓は「おうへん」に「民」)佑(キムミンウ)さん(30)は6度目の参加。「治療のため学校の友達と距離ができ、寂しかったが、日本の小児がん経験者とは言葉は通じなくても『お互い大変だった』と理解し合えた」と笑顔で語った。

 6歳で白血病を発症し、3年間治療したという北九州市の林志郎さん(39)はほぼ毎回参加。現在は仕事の傍ら、道化師として小児病棟の訪問を続けている。「治療中は死の恐怖に悩まされ、その後もいじめやがんへの偏見に苦しんだ。国や世代を超えて思いを分かち合えた日韓交流が、活動の原点になっている」と話した。

 「自分だけが経験する痛みではない。だから積極的に生きようと思えた」「韓国側の参加者の明るさに影響されて、前向きになれた」…。九州北支部の高橋和子さん(70)=福岡県うきは市=はこれまでの参加者の声を紹介しながら「医療の進歩で小児がんの7~8割は治るようになり、治療後の就学や就労が大きな課題になっている。その面でもお互いに学ぶ点が多かった」と締めくくった。


=2017/05/25付 西日本新聞朝刊=

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