今天中国~中国のいま(39) 公務員は金の茶わん

西日本新聞

 中国司法省の元高官が先月末、重大な規律違反の疑いで共産党籍を剥奪された。腐敗事件は珍しくないが、問われた容疑は収賄ではなく、贈賄だった。

 国営メディアによると、元高官はもともと山東省の企業経営者。詳細は明らかにされていないが、入党する際に提出する資料をはじめ、年齢、学歴、活動歴、家庭の状況を詐称していたほか、出世のために各方面に賄賂を贈っていた疑いがあるという。実際、次官級まで昇進していた。企業トップの座より、党員になって官界で栄達を目指す方がうまみがあったのか。

 中国の公務員は従来、職業として人気が高い。手厚い福祉が保障され、「副収入」も多いとされる。「役所の調達担当は、給料ゼロでも業者からのリベートだけで食べていける」(専門家)。「指導的立場」にある党員なら、出世も早い。

 風向きが変わったのは反腐敗運動だ。年に5万人も摘発される時代になり「公務員は緊張を強いられる職業」との見方が定着した。2015年の国家公務員試験の受験者数は過去5年で最も少ない約90万人にとどまり、転職者も増えた。

 ところが16年の受験者数は93万人、今年は98万人と再び増加に転じ、競争率も高まっている。1番人気は国税部門とか。「腐敗うんぬんはともかく、経済成長の鈍化で安定志向が強まったのでは」と知人はみる。

 かつて中国では、公務員を「鉄の茶わん」と呼んだ。食いっぱぐれがないという意味だ。最近では「金の茶わん」と呼ばれるという。露骨な腐敗が難しくなった今日でも、憧れと嫉妬が入り交じる庶民の視線を物語る。 (北京・相本康一)

 =随時掲載

=2017/06/02付 西日本新聞朝刊=

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