世界の笑顔 被災地に 横浜の児童画展、熊本の旧坂本村へ 奔走する上村美鈴さん(68)

西日本新聞

各国の子どもたちが描いた「笑顔」に目を通す上村美鈴さん(右)と実行委員会のメンバーたち=22日午後、熊本県八代市の坂本コミュニティセンター 拡大

各国の子どもたちが描いた「笑顔」に目を通す上村美鈴さん(右)と実行委員会のメンバーたち=22日午後、熊本県八代市の坂本コミュニティセンター

 熊本県八代市坂本町(旧坂本村)の住民たちが、「笑顔」をテーマに国内外の児童が描く絵画の展示会を企画した。横浜市で20年続き、メンバーの高齢化で昨年幕を閉じた「青葉国際児童画展」の過去の作品も借り受け、11月に開催する。坂本町と横浜の橋渡しをしたのは、熊本地震の直前に帰郷した町出身の出版プロデューサー上村美鈴さん(68)。「被災した人たちに、世界中の子どもたちが応援していることを伝えたい」と願う。

 上村さんは文芸春秋で編集者などを37年間務め、フリーになった。東日本大震災をきっかけに昨年3月、両親の死去で空き家になっていた八代市の実家に移り住んだ。荷ほどきも終わらない1カ月後、熊本地震に見舞われた。

 東京から安否を心配する電話が鳴った。青葉国際児童画展を中心的に支えてきた、山本澄子立正大名誉教授だった。山本さんに著書の出版を依頼していた上村さんは昨年8月、打ち合わせも兼ねて横浜市にある児童画展の事務局を訪ねた。

 壁いっぱいに飾られていた「笑顔」に目を奪われた。色鮮やかな民俗衣装に身を包んだ子たちの笑顔、目も口も大きく広げた笑顔…。素朴なタッチで描かれ、肌の色も背景も違うどの作品からも、笑い声が聞こえてくるよう。

 「熊本で展示したら、被災した方たちがいくらかでも元気になるかもしれない」。こう思った上村さんの背中を山本さんが押した。「喜んで貸し出しますよ」

 同年11月、上村さんは坂本町の球磨川で解体工事が進む荒瀬ダムの撤去後のまちづくりを話し合う住民の会合に出席し、児童画展の開催を提案。横浜の児童画展の作品を借りられることを告げると、住民から拍手が起きた。地元の自治協議会が主催して開催することが決まった。横浜からは、日本を含む15カ国・地域の子どもたちが描いた約250点が寄せられる。

 地域の高齢化率は53・6%に達し、少子化にも歯止めがかからない。実行委員長の松嶋一実さん(69)は「国際的なイベントを開けば、若い世代が町に注目してくれるのではないか。ありがたい」。上村さんは「熊本地震の被害が大きかった地域や東日本大震災の被災地の子どもにも作品を募りたい」と話す。将来は、東日本大震災の被災地でも巡回展を開きたい考えだ。

 展示会は11月3~19日、町内の道の駅や温泉センターなど7カ所で開催。応募資格は世界中の15歳以下の子どもで、B4判以下の紙に「笑顔-SMILE」をテーマに描く。9月23日締め切り。坂本住民自治協議会=0965(45)2228(平日のみ)。


=2017/06/23付 西日本新聞朝刊=

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