学習支援の人材バンク、福岡県開始 困窮家庭、学力向上に善意を

西日本新聞

 福岡県は生活困窮家庭の小中学生が通う「学習支援教室」のボランティアが不足しないように、県全域の希望者を人材バンクに登録し、教室を開設した市町に派遣する事業を6月から始めた。全国でも珍しい取り組みという。県内では27市町に学習支援教室があるが、子どもたちに勉強を教え、相談に乗るボランティアの確保が課題になっている。

 「中間テストで良かったところ、良くなかったところを振り返ってみましょう」。日曜の夕方、福岡県内の公共施設にある学習支援教室。運営を受託しているNPO法人の井上一豊さん(62)が集まった小中学生12人に呼び掛けた。

 勉強する科目は自由。約2時間、黙々と問題を解く子もいれば、周りと談笑する子もいる。大学生や会社員ら5人のボランティアが机の間を歩き、子どもに目を配る。雑談にも加わる。

 教室は週1回。学習習慣を身に付けることを重視する。ほぼ毎週手伝う男性農家(33)は「勉強はやる気になれば2、3カ月で追い付ける。苦手意識を減らしてくれればいい」と話す。

 文部科学省などによると、2014年度の生活保護世帯の高校中退率は4・5%で、全世帯平均の3倍。貧困の世代連鎖を断つには進学と安定した仕事に就くことが鍵となる。自治体は15年の生活困窮者自立支援法施行を機に、困窮家庭の子どもの学習支援に乗り出し、福岡県では半数近い市や町が公民館などに独自の「教室」を開いている。

 福岡県が昨年秋に運営状況を調べたところ、回答した25市町のほぼ半数がボランティア集めに苦労していた。教室によっては一人も集まらない日があった。

 そこで、県は市町に代わってボランティアを募集。人材バンク「エール」のウェブサイトに活動できる曜日や地域を登録してもらい、各教室と調整して派遣するようにした。活動中の900人に加え、500人の確保を目指す。

 「関わる大人が多ければ勉強のつまずきも、悩みも分かってあげられる」。井上さんは熱意のあるボランティアを求めている。

=2017/06/28付 西日本新聞朝刊=

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