森へおいでよ 筑豊の自然再発見<40>香りを楽しむ 心で「聞いて」みよう

西日本新聞

 筆者らの観察会は、視覚、触覚、味覚、嗅覚、聴覚の五感を駆使して楽しむことを旨としている。もちろん、視覚と聴覚以外は、場合によっては危険を伴うこともあるため、なんでもかんでも、という訳にはいかない。それでも可能な限り、手触り、味、香りを確かめてもらうように努めている。

 といいつつ、実は観察会において触覚、味覚、嗅覚がメインテーマになることはあまりない。しかし、これらを扱わない日もない。葉をちぎったりもんだり、かんだりして香りや味を確かめることは身近で楽しい手段である。先週のクスノキの香りの話もその一部を開陳したに過ぎない。

 さて、その先週のクスノキの話に出ていた樟脳(しょうのう)を当会のきのこはかせが集めてくれた=写真(1)。自作の水蒸気蒸留器で葉を蒸留して得たという。実験室レベルの厳密性もなければ、工場レベルの効率性もないが、身近で廉価な材料だけで作られているため誰にでもまねができる。そういう点も人々の興味をそそるのである。

 この水蒸気蒸留器、飯塚市自然体験プログラム「いいねん!」でのワークショップ(自然の香りを楽しむ)でも大活躍であった。まずは、葉を刻み=写真(2)、水の入った水蒸気蒸留器に詰めて電源を入れる。水が沸騰してくるとふたの穴から導いた管の先から香り成分を含んだ水蒸気が出てくる。これを冷やすと、香りのついた液が集まる、という仕組みである=写真(3)。参加者の前で実際に蒸留することで、漏れ出てくる香りとともに仕組みも分かる=写真(4)。

 香りを楽しめるのは、葉だけではない。枝の樹皮も水蒸気蒸留してもいいが、今回は、削ってみた=写真(5)。削った樹皮をおこった炭の上にのせて穏やかに燃やす。香道のようにその香りを聞くのである=写真(6)。そう、嗅ぐのではなく、心で聞くのである。

 いずれも、日頃の「いいねん!」での楽しみ方とは違う方法で、野外での生とは違う香りを味わえた。

 一テーマでもさまざまな切り口があり、それをさまざまなチャネルとして生かすことで多岐にわたる人々の興味をひくことができる。香りのワークショップはその好例であった。

【筑豊の自然を楽しむ会(ちくぜんらく)・成本麻衣子(なるむし)】


=2017/06/29付 西日本新聞朝刊(筑豊版)=

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