<60・最終回>頑固店主が作る多彩な味 ラーメン屋 游(福岡市城南区)

西日本新聞

 切り盛りするのは頑固親父(おやじ)。個人経営のラーメン店にそんなイメージを持つ人がいるかもしれない。しかし、最近は若い店主が増えてきた。福岡市城南区にある「ラーメン屋 游(ゆう)」の店主、平山雄一さんは40歳。1人で厨房(ちゅうぼう)に立ち、豚骨を軸に多彩なラーメンで人気を集めている。

 カウンターのみ10席の店内。オープンは2014年11月と新しいが、週末のある日に訪れると待ち客がいる盛況ぶりだった。

 豚骨ラーメンを頼んだ。「手を抜くと味に響く」と仕事は丁寧だ。ずんどうからスープをすくい1人前ずつ小鍋で仕上げる。熟成レアチャーシューは直前にブロックから切り分けていた。一口すする。濃厚さがありながらとげがない。とろっとした舌触りのスープと絡む、こしのある麺も好みだった。

 「麺は奥で作っています。頂き物の製麺機があるので」。聞けば、贈り主は河原秀登さん(50)。平山さんのラーメン修業は、その河原さんが経営する「秀ちゃんラーメン」(福岡市)から始まった。

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 秀ちゃんは1993年に河原さんが創業した。ただ、その系譜はさらに30年以上さかのぼることができる。

 60年ごろ、河原さんの父、登さん(故人)が同市早良区に「扇屋」を開業。63年に「だるま」に屋号を変え、博多区、東区と移転するうちに行列店となった。既に独立していた河原さんは00年、父の店を引き継ぐ形で中央区に「博多だるまラーメン」を構え、二つの屋号を掲げた。

 同じ頃、前の仕事を辞めたばかりの平山さんは知人に誘われ、秀ちゃんで働き始めた。飲食は未経験。それでも「やるなら将来独立する」とがむしゃらに学んだ。結局秀ちゃん、だるまを行き来しながら約15年間勤務。独立祝いにもらったのが製麺機だった。

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 「使っている骨の部位は同じ。でも火力と炊く時間は変えています」。だるま、秀ちゃんは豚骨らしいにおいが漂う濃厚さが特徴。平山さんの一杯も濃厚ながらそのベクトルは全く違う。開店当初は客も少なく、心が折れそうになった。それでも自分の味を貫き徐々に評判となった。

 人気を決定づけたのは、季節ごとに提供する限定麺だ。つけ麺、冷やしラーメン、カツオが効いた豚骨清湯スープの「豚そば」、横浜家系ラーメンをイメージした「醤油(しょうゆ)豚骨」など次々に考案。一部は通常メニューにもなった。「食材も含めて、今までやったことないことを試し、他にないものを作りたい。博多ラーメンをやるつもりは全くありません」と力強い。

 老舗で学び、ある部分は受け継ぎながら、常に進化を求め続ける。親父と呼ぶには早すぎるが、その姿勢は頑固である。 (小川祥平)

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 ●連載を再構成 今秋、本に

 「ラーメン のれんのヒストリー」が本になります。オールカラーで再構成し、9月ごろから全国の書店で取り扱いを始めます。詳細が決まったら、紙面で紹介します。


=2017/07/06付 西日本新聞朝刊=

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