森へおいでよ 筑豊の自然再発見<41>白亜紀の世界 太古に思いをはせる

西日本新聞

 恐竜が闊歩(かっぽ)していた約1億2千万年前、中生代白亜紀前期の関門層群脇野亜層群(かんもんそうぐんわきのあそうぐん)と呼ばれる地層が、宮若市や飯塚市、直方市などに分布している。脇野亜層群は、川や湖に、泥や砂、火山灰、礫(れき)などが積もってできた堆積岩で構成され、その一部は道路の舗装材やセメントに混ぜる砕石として盛んに採掘された。

 宮若市千石峡周辺の地層では、かつてより巻き貝や二枚貝の化石の存在が知られていたが、1990年には佐藤政弘氏によって肉食恐竜の歯が発見された。この恐竜はワキノサトウリュウの愛称で呼ばれている=写真(1)。また、2015年には新種のカメ化石が発表され、アドクス・センゴクエンシスと命名されている。

 筆者は、子供のころから筑豊を中心に化石を探し続け、脇野亜層群では、巻き貝や二枚貝=写真(2)(3)、魚類=写真(4)、カメ=写真(5)、ワニ=写真(6)、トビゲラ類と考えられる昆虫の巣、シダやソテツなどの植物化石=写真(7)を確認した。魚類では、淡水性のサメであるヘテロプティコドゥスの歯もあり=写真(8)、現在のネコザメの歯に似た形状から、このサメは、貝などをバリバリかみ砕いて食べていた、と推測されている。

 このような地層の堆積状況や化石の存在から、大陸の一部であった当時、川や湖、周辺の盆地には、豊かな生態系が形成されていたことが分かる。本格的な地層の調査が可能になれば、他にもさまざまな生物の痕跡が見つかることは間違いない。

 最後に紹介するのがストロマトライトという化石である。ストロマトライトとは、シアノバクテリア(藍藻(らんそう))という細菌によってつくられる縞(しま)状の構造を持つ岩石のことである。その最古のものは、これまでは約27億年前とされ、光合成を行い、酸素がなかった当時の大気中に酸素を供給する重要な役割を担ってきた、と考えられている。これと同様のストロマトライトが宮若市や直方市の脇野亜層群からも見つかっている=写真(9)。

 われわれ人類が誕生するまでの長い地球史のひとこまが身近なところにあるのである。

【筑豊の自然を楽しむ会(ちくぜんらく)・黒河雅文(クロちゃん)】


=2017/07/06付 西日本新聞朝刊(筑豊版)=

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