奇妙なもの・不思議なものを見に行きたくなる!写真・イラスト満載の世界地図

西日本新聞

 マッドメンをご存じだろうか。ある部族の風習(仮面をつけた姿)である。民俗学に関心のあるマンガ家の作品に出てくることもあるので、マッドメンの名は知らなくても、姿は知っているという人もいるかもしれない。あるいは、マッドメンを知っていても、それがパプア・ニューギニアの風習であることは知らないかもしれない。誕生秘話を知っていれば、あの姿は泥まみれの男をあらわしているとわかるのだけれど……などと書いていても、もどかしくてしかたがない。ここに1枚写真があれば、ひと目で伝わるのに、という問題を解決してくれるのが本書である。

 ユニークなのは「世界に実在する奇妙なものと、実在するかもしれない不思議なもの、その両方を等しく地図に配置して」いるところだ。ネス湖のネッシーから屈斜路湖のクッシーまで、雪男からヒバゴンまで、写真撮影のむずかしいものはイラストを使って、世界地図の上に配置されている。百科事典形式ではなく、地図というのがミソで、実際にそこへ行ってみたくなる。たとえば、ネッシーはイラストでも、背後にネス湖の写真が載っているので、そういう気持ちがよけいに高まる。

 編著者の佐藤健寿は写真集『奇界遺産』などで知られ、TV番組『クレイジージャーニー』でも取り上げられて、大きな話題となった。今回は、写真よりイラスト(阿部結)や文章が主体となっているが、その文章も的確である。基本は簡潔に書かれていて、「ケセランパサランってなんだっけ?」という答えがすぐに見つかる一方、題材によってはエッセイ風の長文が収められている。

 恐山のイタコについての文章は印象的だ。口寄せが広く知られるようになった背景には、戦争で大勢の人が死んだことが関係していることが紹介されており、こうした物事を「信じる」「信じない」といったレベルで語ることの不毛さを感じさせる。「実在する奇妙なもの」と「実在するかもしれない不思議なもの」を並列にとらえて、好奇心旺盛に世界中を飛び回る著者の精神が、こうした内容を可能にしたのだろう。

 大人が読めば、子供のころ、不思議な話にワクワクした気持ちがもどってくるし、子供に見せれば、夢中になるにちがいない。


出版社:朝日新聞出版
書名:THE WONDER MAPS 世界不思議地図
著者名:佐藤 健寿/著 阿部 結/イラスト
定価(税込):3,672円
税別価格:3,400円
リンク先:http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=19072


西日本新聞 読書案内編集部

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