今天中国~中国のいま(45) 公式発表はごますり

西日本新聞

 中国共産党機関紙、人民日報に先日、珍しい記事が掲載された。事件事故に関する各地方政府の公式発表を批判する内容だ。

 例えば河南省で最近起きた火災に関し、当局がソーシャルメディア上で発表した情報は263文字。このうち165文字が、現場に駆け付けるなどした各部門の指導者の名前や肩書、各指導者がいかに事故対応を重視しているか、という内容だった。肝心の死傷者数や原因には、ほとんど触れられていなかったという。

 人民日報は「指導者が事故に対応するのは当たり前のこと。大衆の関心に応えず、指導者を満足させることが唯一の基準になっている」と厳しく批判した。公式発表が、ごますりに使われているというわけだ。

 そういえば、日本では事故や災害の発生直後に政府要人が現場に入ると、パフォーマンスと受け取られ、余計な人員を割かれるとして不評を買うこともある。

 中国は少し違う。パフォーマンスどころか「指導者の陣頭指揮がないと、現場がうまく動かない」(中国紙記者)と聞く。「指導者の指示が全て。法治ではなく、人治の国だから」と北京の大学教授は言う。

 湖北省・長江で2015年6月に起きた客船転覆事故の場合、李克強首相は翌日に現場入りしたが、2カ月後に起きた天津市の大規模爆発の際は4日後。「現場入りが遅れたのは、爆発した化学物質による汚染を嫌ったのでは」とソーシャルメディアで酷評された。

 今や、現場の情報や写真がスマートフォンでやりとりされる時代。「人治の国」とはいえ、ごますりだらけの公式発表は、指導者にとっても迷惑だろう。 (北京・相本康一)

 =随時掲載

=2017/07/11付 西日本新聞朝刊=

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