総合的な学習(2)削減の波 新教科のあおり受け

西日本新聞

 学びのサイクル、どう実現

 子どもからお年寄りまで幅広いお客さんが訪れ、店員さんともっと会話ができるお店にするには、どうすればいい?

 福岡県春日市の市立春日東小学校で6月21日、6年生は総合学習の授業でそんな課題解決に取り組んでいた。

 児童たちは3年前から、PTAのバザーに出店している。「もっと地域とかかわろうプロジェクト」として始まった。でも、卒業生と地域住民にアンケートをしてみると、卒業生に比べ、住民の評価は芳しくなかった。

 1クラス25人の児童は、役割ごとに6班に分かれて議論を始めた。福岡県が開発したラーメン用小麦「ラー麦」を販売する班は、子どもたちにどうアピールするかに悩んだ。出てきたのは「キャラクターをつくる」というアイデアだった。

 でも、他の班からは「お金がかかる」「準備に時間がかかる」。峰友美教諭(30)がみんなに呼び掛けた。「困っているんだけど、どうしたらいいかな」

 すると運営担当班の児童が提案した。「ポスターを作るので、そこにラー麦の宣伝を載せる」。峰教諭は提案を尊重した。

 大人から見ると、改善に結びつくかどうか疑問を抱く提案もあり、集客に結びつかない可能性もある。でも、それも含めて学びなのだろう。提案と反論、そして新たな提案…。活発な意見が飛び交った授業は、予定を10分過ぎて終了した。

 答えは一つではないから

 総合学習の授業は、算数や国語のような理路では進まない。子どもの発言を待ち、議論の行方も分からないため、時間のゆとりが必要だ。

 2002年度に導入された総合学習は当初、小学校3年生以上では週3こま(年105~110こま)もあった。同年度に完全実施された「ゆとり教育」の目玉授業でもあったからだ。が、国際学習到達度調査(PISA(  ピザ  ))の順位が低下したこともあり、ゆとり教育批判が噴出。11年度から、小学校の総合学習は週2こま(年70こま)に削減され、5、6年生は削減分で毎週1こま、外国語活動(英語)を学ぶことになった。

 このとき、春日東小は総合学習の授業計画を見直した。例えば、体験活動と位置付けていた小5の「農家民泊」は、探究活動に狙いを変え、楽しさや集団生活の規律を学ぶよりもむしろ、「行って何が分かったか」に重点を置くようにした。藤菊子主幹教諭(47)は「全体をぎゅっと詰めて、内容を充実させた」と振り返る。

 教員たちも悩んでいた

 20年度から実施される新学習指導要領で、小学校では英語授業が拡充され、プログラミング学習なども新たに加わる。限られた授業こま数の中で、削減対象になっているのが総合学習。春日市は09年度から文部科学省の認定を受け、小学3、4年は総合学習の20こまを外国語活動(英語)に振り替えており、総合学習縮減の流れはさらに加速しそうだ。

 総合学習の学びは「課題の設定」「情報収集」「整理・分析」「まとめ・発表」というサイクル=イラスト参照=を重ね、深まっていくという。

 春日東小では総合学習「もっと地域とかかわろうプロジェクト」で、この学習サイクルを2回転させている。9月にあるバザーまでで1回、事後の振り返りでもう1回。かつては3回転させていたが、この学びのサイクルが少なくなりつつある。

 「以前はゲストティーチャー(外部講師)を招いたり、子どもたちの脇道思考や気づきを待つ時間を十分取れたんですが、今の流れでは、コンパクト化する授業の中身を濃くするしかないですね。子どもたちがワクワクする授業スパイスを利かせながら」

 藤主幹教諭は悩ましそうだった。

=2017/07/09付 西日本新聞朝刊(教育面)=

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