今天中国~中国のいま(46) 偽の「新聞記者」現る

西日本新聞

 「コピー天国」と呼ばれる中国。「偽物でも安くて丈夫です」と、知人女性がかばんや時計、財布を見せてくれたことがある。全て偽ブランド品という。本人が満足しているならいいか、と納得しそうになった。

 偽物だけでなく「偽者」もいる。河北省で最近、新聞記者を名乗る企業恐喝グループ22人が摘発された。

 中国紙によると、グループは煙突や排出口から汚染物質を排出していそうな工場を探し出した上、まず地元の環境保全当局に通報。当局から企業側に通報の事実が伝わり、心理的に「圧力」をかけてから、「カネを出せば報道しない」と企業をゆする手口だった。

 彼らは実在するメディアの記者証や身分証を持っていた。完全な偽物ではなく、カネを渡して裏で発行させた“本物”もあったとか。被害は38件、計34万元(約570万円)に上った。

 中国では、記者会見やイベントの取材に来た中国メディア記者に、企業側が交通費と称して「紅包」(ご祝儀)、つまり現金を渡すことがある。恐喝成功の背景には、そうした独特の習慣があることに加え、政府が環境保護の大号令をかける中、企業側にも内心後ろめたい事情があったのか。

 もっとも、記者を名乗る手口は、すぐに時代遅れになるかもしれない。企業が重視する影響力という面では、急速に普及したソーシャルメディアに軍配が上がりつつあるからだ。「新聞やテレビより、ブロガーの方が信用され、注目度も高い」と北京の広告関係者は言う。

 新手の「偽者」が出現するのも、時間の問題か。 (北京・相本康一)

 =随時掲載

=2017/07/12付 西日本新聞朝刊=

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