今天中国~中国のいま(49) 新都市も指導者次第

西日本新聞

 中国の農村部を訪ねると、地元政府庁舎の巨大さにあぜんとすることがある。例えば、浙江省にある人口40万人ほどの県の庁舎は、全面ガラス張りで日本の首相官邸を上回る規模。中に入ると、だだっ広い部屋が並び、人けはなかった。

 地方の共産党指導者が実績をアピールするために、不相応に豪華な庁舎を建てる傾向があったという。「ぜいたく禁止」を掲げる習近平国家主席の下、記者が訪ねた県政府庁舎もその後、党中央規律検査委員会から名指しで批判された。

 習氏の肝いりで新都市「雄安新区」が建設される河北省保定市を先日訪ねたら、予定地の県政府庁舎は比較的地味だった。周囲にはシャッターを閉じた店も目立つ。活気があるとはいえなかったが、計画通りなら、高層ビルが林立する街に生まれ変わることになる。

 改革・開放以来、こうした開発構想は珍しくない。新区、経済特区、開発区、自由貿易区と名称はさまざまだが、中国メディアによると400カ所以上。「派手に宣伝し、日本企業も関心を抱いたが、うやむやになったケースも」(外交筋)。それぞれ主導した指導者がおり、その実力が計画実行にも反映されるようだ。引退などで力が弱まれば、誰も見向きもしなくなる。

 さて、雄安新区は「千年の大計」と言われる。習氏の力は現在絶大だが、慣例通りなら任期は残り5年。「新区を軌道に乗せるのに、5年では短すぎる」と中国メディアの友人は言う。

 中国では指導者の肉声は伝えられず、権力闘争はベールに包まれている。街づくりの行方を注意深く観察すれば、指導者の権勢のほどがうかがえるかもしれない。 (北京・相本康一)

 =随時掲載

=2017/07/25付 西日本新聞朝刊=

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