締め付けたくない 小さく見せたい ブラも自然体 背伸びせず、同性の共感を

西日本新聞

 よく伸びる素材で縫い目やワイヤのないものや、胸のボリュームを抑える効果のあるブラジャーが下着売り場で人気を博している。胸を大きく強調するよりも、着用時の締め付けや胸に向けられる他者の視線から解放され、自然体でいたいという女性の意識が影響しているようだ。

 福岡市・天神の岩田屋本店で2016年度の売り上げが、前年の倍に伸びた下着がある。縫い目やワイヤ、ホックのないブラジャー「スロギー」(トリンプ、3024円~)だ。

 よく伸びる布地を独自の方法で接着して縫い目をなくしたことで、締め付けや肌当たりなどの着用ストレスを少なくした。購入する年代は幅広く、ヨガやスポーツジム、旅行などの活動的なシーンや、自宅でくつろぐときなどに使う人が多いという。昨年4月の熊本地震以降は、それまでブラジャーを着用せずに寝ていた人が「いつ避難が必要になるか分からないから」と、就寝用に購入するケースもあったという。

 トリンプによると、スロギーのブラジャーが日本で発売されたのは2013年。15年からはサイズやカラーを拡充し、ショーツを含めた販売枚数は、今年2月末までで230万枚を突破し、ヒット商品となった。

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 同じ売り場で、バストの大きな女性に売れているのは「小さく見せるブラ」(ワコール、5076円~)だ。ワイヤの工夫で胸の膨らみを分散させ、谷間が目立たないよう布地を加えている。ワコール公式通販で2017年上半期の売り上げトップとなった。

 大きく見せることが主流だったブラジャー業界で「小さく見せる」製品を開発したのは、同社の09年のインターネット調査がきっかけだった。「ブラジャーに求めること」という質問に、「バストをコンパクトに見せたい」というニーズが10・7%もあったのだ。

 同社は10年にウェブ通販で「小さく見せるブラ」を発売。11年に店頭販売が始まり、年々売り上げを伸ばして昨年は約17万4千枚を売り上げた。

 売り場の販売員で、自身も胸が大きいことで悩んでいた吉村りかさん(46)は「ジャケットのボタンは留められないし、男女を問わず視線を集めてしまうことがストレス。小さく見せるブラはそれが軽減される」と語る。

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 なぜこうした下着が求められるのか。

 トリンプの広報担当者は、ゆったりしたシルエットの洋服や、スニーカーなど無理をしないアイテムが流行し、ナチュラルスタイルがトレンドになっていると指摘。「無理や背伸びをせず、自然体でいられるものを着けたいという女性の意識の変化と合致した」と分析している。

 香蘭女子短大ファッション総合学科の非常勤講師、岡田絵梨奈さん(ファッションコーディネート)は、鎖骨周りを露出する服の流行やトレーニングブームなどにより、健康的で、胸元のすっきりした体つきへの憧れが強まっていることが影響しているとみる。

 さらに、近年の流行が同性からの共感を重視していることを挙げ、ハイヒールや締め付けの強い下着で従来の「女性らしさ」を強調する必要性がなくなってきているとも分析。今後は2020年の東京五輪に向け、スポーツファッションブームが過熱すると予想され、「適度に筋肉の付いた、すっきりとした体つきへのニーズがさらに高まり、下着に反映されるのではないか」と話している。


=2017/07/25付 西日本新聞朝刊=

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