森へおいでよ 筑豊の自然再発見<44>英彦山の絶滅危惧種 災害で環境に変化も

西日本新聞

 英彦山(添田町)には豊かな生態系がある。その生態ピラミッドの頂点に君臨するのがクマタカである=写真(1)。

 クマタカはトビよりも大きく、がっしりとした体つきをしていて、翼の幅が非常に広い。翼をピンと伸ばしてゆったり弧を描きながら飛ぶ姿は森の王者にふさわしく、堂々としている。

 ノウサギなどの哺乳類から、ヤマドリなどの鳥類、アオダイショウなどの爬虫(はちゅう)類まで、いろんな動物を捕食する。その地域にクマタカがいるということは、それを支える餌となる動物たちがいるということになり、その動物たちを支える豊かな植物、土壌があるという証しになるのである。

 クマタカをはじめとして、英彦山とその周辺には、福岡県レッドデータブック2011の鳥類リストに記載されている絶滅危惧種の多くが今も棲息(せいそく)している。

 しかし、その中に以前は見られていたが、近年ほとんど見られなくなったという種もいくつかある。

 その代表例がブッポウソウである。「英彦山のぶっぽうそう」として1957年に県の天然記念物に指定されているが、91年の台風19号により営巣木が倒れてからは目撃情報はあるものの繁殖は確認されていない。

 現在、ブッポウソウは県内に確実な繁殖地がなく、絶滅状態が続いている。

 また、鳴き声が「ブッポウソウ」と聞こえることから声のブッポウソウといわれるコノハズクも同様、県内に確実な繁殖地はない。

 これら2種がいなくなったのは、営巣する樹洞(じゅどう)の消失、餌となる昆虫の減少などの人間が気づきにくい環境の変化が原因であるように思われる。

 明らかに大きな環境の変化を受けて棲(す)みかを奪われてしまったのがコマドリである。中岳山頂付近は前述の台風19号以来荒廃が進み、30年ほど前のうっそうとした感じは全くなくなっている=写真(2)(3)。ササの多い林を好むコマドリには棲めない場所になってしまった=写真(4)。

 7月初めの九州北部豪雨で添田町も大きな被害を受けた。クマタカの棲む森に大きな影響がなかったことを祈るばかりである。

【筑豊の自然を楽しむ会(ちくぜんらく)・木村直喜(ザ・バードマン)】


=2017/07/27付 西日本新聞朝刊(筑豊版)=

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