溶岩ドーム消せぬ落書き 国天然記念物、傷める恐れ 雲仙・普賢岳確認から1年

西日本新聞

 雲仙・普賢岳の溶岩ドーム(平成新山、1483メートル)で昨春に見つかった落書きが、1年たった今も消されないままでいる。国天然記念物である溶岩ドームへの落書きは文化財保護法に抵触する可能性もあるが、消そうとすると岩を傷める恐れがある。関係自治体は対応を模索するが、有効な手段は打ち出せていない。

 溶岩ドームは島原半島の3市が立ち入りを制限する警戒区域内にあり、落書きは昨年5月、九州大などによる防災登山で見つかった。翌月に島原、雲仙両市の文化財担当者らが再び訪れ、「あんたはエライ!!」「ようこそ溶岩ドームへ」などの落書きを島原市域で10カ所、雲仙市域で2カ所確認した。

 これを受け島原市教育委員会は同11月の防災登山で、黄色の塗料の落書きを紙やすりでこすったが、塗料が岩の細かなくぼみに入りこんでいるため消せなかった。今月の防災登山の際も落書きは残っていた。

 市教委の担当者は「建築物の落書きと違い、上塗りして消すわけにはいかない。天然記念物の岩を削っては本末転倒だ」と漏らす。現場は落石や火山ガス発生の危険性があり、除去作業のために頻繁に立ち入るのも難しい。昨年7月には九州森林管理局が文化庁に天然記念物の「き損届」を出したが、文化庁から対応についての指示はないという。

 落書きを巡っては、警戒区域に侵入した災害対策基本法違反の疑いもある。警戒区域は約950ヘクタールと広範囲で、両市は登山道との境の2カ所にゲートを設けているが、警戒区域との境界には低木が隔てているだけの場所もある。全てを監視する防犯カメラの設置は現実的ではなく、島原市は「立ち入り禁止の啓発を地道に続けていくしかない」と侵入を防ぐ対策にも苦慮している。

この記事は2017年05月24日付で、内容は当時のものです。

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