「戦時の日常 今につながる」 映画「この世界の片隅に」 片渕監督が昭和館でトーク

西日本新聞

 一人の女性の目から見た太平洋戦争を描いたアニメ映画「この世界の片隅に」(2016年)の片渕須直監督が4日、小倉北区の映画館「小倉昭和館」でシネマカフェに出演した。片渕監督は「遠くなるあの時代(戦争中)をもう一度取り戻したかった」と映画に込めた思いを語った。

 「この世界の片隅に」は、軍港の街である広島県呉市に嫁いだ主人公「すず」の、嫁ぎ先での暮らしを追いながら、ごく普通の家庭に戦争が入り込んでいく様子を描いた。風景や食事など綿密な時代考証でも人気を集め、映画専門誌「キネマ旬報」のランキングでは16年の日本映画1位に。封切りが終わった作品を上映する「二番館」スタイルの昭和館でも、4日まで上映していた。

 片渕監督は当時の暮らしの再現に徹底的にこだわったという。街並みや自然だけでなく、「何月何日にどの軍艦が呉に入港していたか、一覧表があるわけではないので、軍艦に勤務していた人の手記を大量にめくった」と明かした。スミレやカタバミなどの野草を使った劇中の料理も、実際に作ってみたという。

 「政治に参画する権利を持たず、嫁ぎ先も自分で決められなかった、すずさんのような人の上にも爆弾が落ちてくることを描きたかった」と片渕監督。昨年秋に公開後、初めての夏を迎えた。「戦争は一日に集約されるものではない。終わってからも日常は続き、今の私たちにつながっている。折に触れ、この映画を思い出してもらえたら」と語った。


=2017/08/09付 西日本新聞朝刊=

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