通路に課税 是か非か 天神・新天町の歩行者用 約30年非課税、福岡市方針転換

西日本新聞

 商店街の通路への課税は是か非か-。福岡市・天神の新天町商店街内の歩行者用通路をめぐり、2017年度から固定資産税などを全面的に課そうとする市と、これまで通り免除を求める商店街の意見が対立している。両者は過去に裁判で争った経緯があり、今回も法廷に持ち込まれる可能性が出てきた。識者は、地域発展のため、協力すべき両者に無用な亀裂を生みかねないとして、「市は課税理由を説明する必要がある」と指摘している。

 「通告するだけで、取り付く島はなかった」。86店が連なる新天町。商店街商業協同組合の前理事長、足立憲弘さん(69)は昨年11月の出来事を振り返る。

 数人の市職員が組合の事務所を訪れ、これまで非課税だった部分(総延長約180メートル)も含め、17年度から商店街の通路全てに固定資産税や都市計画税を課すことを通告。新たな課税額は計約3200万円に上るという。

 「公共性は高いはずなのに理由の説明もない」。商店街側はその後も市に協議を求めたが、明確な説明はないままだという。

 福岡市にある同様の通路でも、博多川端商店街(博多区)は市道なのに対し、新天町は商店街商業協同組合などが所有する私道。ただ、地方税法では私道でも「公共の道路」は非課税になる。アーケードがある部分はこれに該当するとされ、1986年ごろから課税されていなかった。30年たって今更なぜか。商店街関係者に思い当たるのは、市と争った裁判だ。

   ◇    ◇

 新天町商店街にはこれまで、アーケードなどの「非課税」通路と、ビル1階などを通り「建物の敷地の一部」とみなされてきた「課税」通路が混在していた。この「課税」通路について組合と新天町商店街公社は「終日開放しており、不特定多数の人が利用している」と公共性を主張。12年に市を相手取り、過去に支払った固定資産税などの損害賠償を求めて提訴した。

 一審の福岡地裁は商店街側の主張を認めたものの、福岡高裁では逆転敗訴。判決は「課税」通路が公共の道路ではない理由について(1)通路上に建物があり、建築基準法では建物の敷地(2)商店街全体の顧客誘引力を高めることが主目的(3)建物の増改築ができ、物置場などとして自由に使用し、収益を出すことができる-などとした。最高裁も昨年2月に商店街側の訴えを退け決着した。

 市は「個別の事案については答えられない」(課税企画課)とするが、17年度から「非課税」通路も課税対象とする方針に転換したのは(2)と(3)などの理由が背景にあるとみられる。「裁判を起こしたことへの意趣返しなのか」。商店街関係者からはため息が漏れる。

   ◇    ◇

 市からの納税通知書は月内にも届く見込み。商業協同組合と商店街公社は3月に合同役員会を開き、通知に対して行政不服審査法に基づく不服申し立てを行う方針を決定。市が棄却すれば、争いは法廷に持ち込まれる公算が大きい。

 名城大法学部の伊川正樹教授(税法)は「約30年間続いてきた非課税の方針を覆すには十分な説明が必要。地元の発展のため互いに協力してきた信頼関係が揺らぐのは、市にとっても得策ではない」と指摘する。

この記事は2017年04月05日付で、内容は当時のものです

PR

社会 アクセスランキング

PR

注目のテーマ