北朝鮮に米が先制攻撃なら… 九州の基地も報復標的 迎撃態勢に課題 専門家分析

西日本新聞

 米国と北朝鮮の軍事的緊張が極度に高まる。メディアやネットで「戦争」という言葉さえ飛び交う。万が一、米国が先制攻撃に踏み切れば、北朝鮮が報復措置としてミサイルを発射し、韓国や日本がターゲットになることは避けられない。事態の展開次第では日本が直面しかねない「不都合な現実」を直視する。

 「米韓と戦争になれば、北朝鮮が敵の軍事拠点である米軍基地をたたいてくる可能性はある」。軍事ジャーナリストの黒井文太郎さんは、仮に米軍が先制攻撃すれば、北朝鮮が日本の在日米軍基地を通常弾頭のミサイルで攻撃してくる可能性はあるとみている。

 黒井さんの分析では、北朝鮮がまず狙うのは在韓米軍基地。その後、在日米軍基地に移る。「岩国(山口県)や沖縄、三沢(青森県)、横須賀(神奈川県)、佐世保(長崎県)が攻撃の目標になるだろう」

 さらに、金正恩朝鮮労働党委員長が「国家が滅亡しても構わない」と自暴自棄になったり、暗殺されて軍が暴発したりする場合、核兵器や生物・化学兵器を使用する可能性も出てくるとみる。「その場合は東京、大阪などの大都市を狙うだろう。スカッドERの射程にも入る福岡市も狙われやすい」と指摘する。

 北朝鮮が核兵器を搭載した弾道ミサイルを実戦配備しているかは不明だが、元海上自衛隊呉地方総監(海将)で金沢工業大虎ノ門大学院の伊藤俊幸教授は、「ノドンに核弾頭を搭載できる技術力がある。威力は広島、長崎の原爆と同じくらい」とする。

 一方、安倍晋三首相は13日の参院外交防衛委員会で、「サリンを弾頭に付けて着弾させる能力を既に保有している可能性がある」と言及した。首相がこうした発言をするのは異例で、危機感の表れといえる。

 北朝鮮のミサイルで、日本の安全保障に直接影響するのはスカッドER(射程約千キロ)、ノドン(同約1300キロ)、テポドン1号(同約1500キロ)、ムスダン(同2500キロ~4千キロ)だ。米国防総省は2015年の年次報告書で、ノドンの発射装置を「50基以下」、スカッドは「100基以下」を保有しているとした。

 注目すべきは、北朝鮮が先月6日、移動式発射台から弾道ミサイルを4発同時に発射したことだ。スカッドERとみられ、北朝鮮の朝鮮中央通信は「有事に在日米軍基地攻撃を担当する部隊の訓練だ」と報じた。

 日本のミサイル防衛は2段階。まず、海上配備型迎撃ミサイル(SM3)をイージス艦から発射し、撃ち漏らした場合、地上に配備した地対空誘導弾パトリオット(PAC3、射程数十キロ)で迎撃する。だが、同時に複数の弾道ミサイルを迎撃することは難しい。1発でも撃ち漏らせば、想像を絶する事態となる。

この記事は2017年04月17日付で、内容は当時のものです。

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