「さみしい」に共感する 大切な人を亡くした子のケア

西日本新聞

 ●遊びの中で表現される悲しみ 心を解放できる場を 「もう会えない」事実 受け止めの過程見守る

 親やきょうだいなど身近な人を亡くした子どもにはどんな支援が必要なのだろうか。フリーアナウンサー小林麻央さんが6月に亡くなった際には、34歳という早すぎる死を悼むだけでなく、残された幼い子どもたちを思い、胸を痛める声も多かった。「もし自分が死んだら、わが子は」と考えた人もいるだろう。家族と死別した子どもの悲しみを癒やすグリーフ(悲嘆)ケアの現場を訪ねた。

 「ここには大切な人を亡くした人が来ています。その話をしてもいいし、しなくてもいいですよ」

 NPO法人こどもグリーフサポートふくおか(福岡市)が月1回開く「たいせつな人をなくした子どものつどい」。毎回、小学生を中心に10人近くが集まる会の冒頭、スタッフは、子どもたちに必ずこう伝えている。

 子どもたちは誰を亡くしたかなどの自己紹介をした後、2時間半の会の半分以上の時間を、思い思いに好きな遊びをして過ごす。

 おもちゃのサンドバッグをたたいてモヤモヤした気持ちを晴らしたり、病院や事故などのごっこ遊びをしたり。「子どもはグリーフを遊びの中で表現することが多い。心を自由に解放できる場でありたい」と代表理事で臨床心理士の秋田寛子(のりこ)さん(34)は話す。自宅では悲しみに暮れる大人の顔色をうかがい、故人の話を避け、本当にやりたい遊びを控えてしまうケースも珍しくないのだという。

 ここでは、子どもがやりたいことを尊重する。例えばオセロなどルールが決まっている遊びでも、子どもが決めた独自のルールがあればそれに従う。「遊びの中で、自分で決める場面を持つことで、自身の力を再認識し、未来へのエネルギーにできる」と秋田さん。

 家族の死を巡っては、治療方針や葬儀の打ち合わせなどの場面で子どもは蚊帳の外に置かれがち。「家族の死に何も関われなかった」と無力感を抱くこともある。

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 周囲の私たちには何ができるのだろう。もし身近にこうした子がいたら、親戚や友人、近所の人が気に掛けてあげることが支えになる。

 「ご飯は食べてる?」「困ったことがあったら言ってね」など日常的に声を掛け、見守る。言葉以外の方法で悲しみを表現することもあるため、急にけがが増えるといった変化があれば、自分を傷つける行為の可能性も考えた方がいい。

 死を理解できるようになる時期には個人差がある。子どもは「今はいない」ということは分かっていても、「二度と会えない」ということは理解が難しいこともあるそうだ。「お空にいるなら、飛行機に乗ったら会えるの」「何回寝たら帰ってくるの」といった質問を繰り返しすることもあるが、子どもが自分の疑問や思いを周囲にそのまま吐き出せる雰囲気づくりこそが重要。次第に「もう会えない」ということを理解し、死を受け止めていく。秋田さんは「今いなくてさみしい、という思いに共感することを大事にしています」と話した。

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 こどもグリーフサポートふくおかは9月、子どものグリーフケアについて学ぶ講座を福岡市中央区荒戸3丁目の市民福祉プラザで開く。(1)9月18日午前10時~正午、基礎講座。参加費2千円(2)同日午後1時半~5時、自分の喪失体験を振り返る体験講座。参加費3千円(3)30日午前10時~午後5時、ボランティアスタッフ養成講座。参加費5千円。(1)と(2)は片方だけでも参加可。(3)は(1)、(2)を両方受講していることが条件。問い合わせはメール=info@grie‐fuku.com=で。


=2017/08/26付 西日本新聞朝刊=

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