水俣条約発効 水銀の正しい廃棄法は 何に使われているか 製品が破損したら

西日本新聞

 蛍光管など生活に欠かせない製品に使われてきた水銀。その健康被害や環境汚染の防止を目指す国際条約「水銀に関する水俣条約」が16日発効した。世界的規模で大気や水、土壌への水銀排出を規制する条約だが、暮らしへの影響や注意するべきことを調べた。

 まず水銀を規制する理由を押さえたい。水銀は常温で液状となる唯一の金属で、気化して発散しやすい。食物連鎖を通じて、大型魚類などに蓄積し、それを食べた人、特に胎児や幼い子どもの神経系に有害な影響を及ぼす。

 このため条約は、鉱山での水銀産出から輸出入、使用、廃棄まで、すべての過程を国際的に規制する。水銀を使った製品の製造や輸出入は2020年までに原則禁止となる。

    ◇    ◇

 条約は、水銀を含む製品の家庭での使用中止を求めているわけではない。環境省は「まずはどんな製品があるかを知って、水銀が外に漏れ出さないよう、決められた用途で正しく使ってほしい」という。

 主な製品は体温計や温度計、蛍光管、ボタン電池。ボタン電池は腕時計、補聴器、防犯ブザーなどに使われる。国内メーカーの蛍光管、ボタン電池は水銀含有量の基準をクリアしており、21年以降も製造される。

 まずはこれらを買い替えるときに、水銀を使っていない代替品の購入を検討してほしいという。蛍光管は発光ダイオード(LED)照明に、水銀体温計は電子体温計に、電池は水銀不使用の製品に、ということになる。

 最も注意が必要なのは、ごみとして廃棄するとき。どれも可燃物として出すのは厳禁。焼却によって水銀が大気中に放出される恐れがあるからだ。破損しないよう紙で包むなどして他の廃棄物とまぜずに各市町村が定めた方法に従う。

 蛍光管とボタン電池は電器店に回収箱があるので、買い替えるときに持参するといい。

 問題は体温計だ。1本に1・2グラム程度の水銀が使われており、蛍光管の200本分に相当するため、適正に処分しないと環境に与える影響が大きい。使わないまましまい込んでいる家庭も多いとみられ、環境省はモデル事業で回収方法を示し、全国の自治体に取り組みを呼び掛けている。

 福岡市の場合は17年度、市内の薬局約700カ所や区役所などを拠点に受け付け。6月までの3カ月で計約13キロ(製品重量)が持ち込まれたが、本年度予算に計上した運搬・処理費は1300キロ(同)分の回収を想定しているので、まだ遠く及ばない。

    ◇    ◇

 例えば水銀体温計が割れたときのように、製品が破損して水銀が漏れ出した場合、人体に影響はあるのだろうか。環境省の水銀廃棄物ガイドラインなどによると、気化していない水銀は、毒性はほとんどない。ただし、放置して蒸発すると気道から吸収されやすく、震えやイライラ感といった神経系の影響が出ることがある。

 破損した場合、水銀は厚紙やプラスチック板でゆっくりと寄せ集め、湿ったペーパータオルなどに包んで、破片とともにガラス瓶やポリ袋に入れて密封する。室内で破損したら窓を開けて十分換気する。破片を掃除機で吸い取った後の紙パックやごみも密封する。

 ●主な廃棄方法

 ▼体温計、血圧計、温度計 市町村によって異なるが、「有害ごみとしての収集が多い」(公益社団法人全国都市清掃会議)。回収事業に取り組む自治体もあり、確認して出す。

 ▼ボタン電池 電器店、スーパーなどに回収箱や回収缶がある。電池は全体を包むようにセロハンテープを貼って絶縁する。

 ▼蛍光管 購入時の包装に入れ、電器店などに置かれた回収箱に。破損した場合、市町村によって異なるが「不燃物」「有害ごみ」として収集している例が多い(同会議)。各自治体のルールに従う。


=2017/08/30付 西日本新聞朝刊=

PR

くらし アクセスランキング

PR

注目のテーマ