凛とした女刑事の魅力が詰まった、大人気警察小説シリーズ第7弾

西日本新聞

 推理小説にしろ警察小説にしろ、ヒットを生む秘けつは「探偵役」のキャラクターをいかに作り込めるかにあるという。その意味でいえば、本書の主人公に勝るキャラクターはなかなかいないのではなかろうか。

 『インデックス』は、累計400万部を超える警察小説「姫川玲子シリーズ」の第7弾。シリーズ第1作目の『ストロベリーナイト』は映画化・TVドラマ化されているため、ご存知の方も多いだろう。主人公の姫川玲子警部補は元捜査一課殺人犯十係の主任で、前作『ブルーマーダー』から引き続き、池袋署強行犯捜査係に所属している美人刑事。天性の勘と判断力、男顔負けの行動力でノンキャリアからのし上がってきたという経歴を持つ。

 本書は8編を収めた短編集となっており、潜入捜査をする玲子や大学時代の玲子、今は亡き部下との初めての捜査に想いをはせる玲子など、主人公の魅力をさまざまな角度から余すところなく味わえるファン垂涎(すいぜん)の1冊だ。

 中でも、捜査一課殺人犯十係の主任に着任した直後の玲子を描いた「女の敵」は、まさに古参読者の心をくすぐる傑作といえる。まだまだ初々しい玲子の「女性警部補」としての葛藤や、女性の尊厳を踏みにじる強姦(ごうかん)という犯罪への激しい憤り、シリーズ中に解体された「姫川班」結成の経緯などがいかにも警察小説の旗手らしいしっかりした筆致で書かれており、ファンからすればまさに「これが読みたかった!」と手放しで称賛したくなるのではないだろうか。

 もちろん、著者の作品ではおなじみのアップテンポながら幾重にも張られた伏線、一筋縄ではいかない犯人達、そして玲子に勝るとも劣らぬ強烈な個性を持つ同僚の刑事達も健在で、シリーズ未読の読者ものめり込んでしまうこと請け合いだ。玲子の尊敬する元上司・今泉、何かあれば「玲子ちゃ~ん」と寄ってくる井岡、玲子と言い合いを繰り広げる捜査二課の土井主任……。

 「警察小説」という響きから感じられるお堅い印象はどこにもない。あくまで軽く、読みやすく、しかし犯罪者の意識や警察組織の中に横たわるままならなさが、正義感あふれるじゃじゃ馬刑事の視点で深く描かれている。その世界にどっぷり浸るために、本書はうってつけだ。


出版社:光文社
書名:インデックス
著者名:誉田哲也
定価(税込):799円
税別価格:740円
リンク先:http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334775063


西日本新聞 読書案内編集部

 

PR

文化 アクセスランキング

PR

注目のテーマ