【決戦へ】1区 吉良氏、労組と蜜月に 党勢回復見えぬ中“集票マシン”頼り 12年衆院選敗北で転換

西日本新聞

 次期衆院選大分1区で5選を目指す民進現職の吉良州司氏(59)が、労組との距離を急速に縮めている。改憲など保守の論客で知られ、護憲勢力とは「水と油」だったはずが、苦杯をなめた2012年衆院選を機に方向転換。民進の党勢が回復の兆しをみせない中、1区では「集票マシン」として絶大な力を誇る労組を頼りにしているようだ。

 21日、大分市の全労済「ソレイユ」ビルであった自治労県本部の定期大会。「伝統があり、力もある自治労の皆さんと戦いに挑みたい」。吉良氏はそう言うと、頭を数度下げ、傍らにいた自治労県本部の森迫信夫委員長と固く握手を交わした。

 この定期大会では、吉良氏への推薦が決まった。初めて推薦した前回14年衆院選は安倍晋三首相の解散表明から10日後。今回は安倍首相が解散を正式に表明する前という異例のスピードだった。「(主義主張が違うという)小異を捨てて大同につくことが重要だ」と言い切る森迫委員長は「全力で支援し、吉良をもう一度、国会に送り込むことは俺の使命だ」と、吉良氏との蜜月ぶりを強調する。

 さかのぼること07年の参院選。参院選では旧民主、社民で交互に候補を擁立する「大分方式」とされる選挙協力の慣例を破り、旧民主県連は当時代表だった吉良氏が主導して候補擁立。社民候補と競合した結果、自民候補に敗れた「遺恨」は、吉良氏と社民系労組の間でその後も根強く残っていた。

 ところが、旧民主が下野した12年衆院選で吉良氏が敗北したことが転機となった。自治労を中心に旧社会党系勢力が強固な選挙基盤を持つ1区で労組抜きに選挙は戦えない-。吉良氏は労組に頭を下げるようになり、足しげく各事務所を訪ね、自分とは異なる考えにもよく耳を傾けた。今や県教組幹部も「関係はすごくいい」。吉良氏も「(労組側とは)密に意見交換をやっている」と自負する。

 「吉良は昨年の参院選でさらに変わった」。県教組幹部が印象深いのは、参院選終盤で野党統一候補となった民進候補への応援演説の中で吉良氏が共産に支援のお礼を述べたことだった。昨年末には、共産県委員会事務所を訪れて年末あいさつ。居合わせた共産県委員会幹部を驚かせた。

 右へ左へ手を広げ、地歩を固める吉良氏。ただ、2年前に週刊誌に報じられた異性との交際を巡るスキャンダルも影を落とす。23日の会見で報道陣から事実関係を改めて問われた吉良氏は「私の不徳の致すところで記事が出たことは非常に残念。支援者に迷惑も心配もかけ、大変心苦しく、申し訳なく思っている」と釈明。民進県連の常任幹事会や各労組の大会でも同じ言葉を繰り返している。

 消費税増税、憲法改正、安全保障…。「捨てるべき小異」が選挙戦で亀裂となる可能性もまた、否定できない。

=2017/09/26付 西日本新聞朝刊=

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